IT担当者300 人に聞きました
働き方改革関連法への対応状況(2019年)/後編(3/3 ページ)
「結局変わらない」現場の本音
最後に、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」に関しての意見をフリーコメントで尋ねた。
前向き派は業務プロセス改革、マネジメント改革を目指す
まず、 今回の法改正を機会と捉え、業務プロセスの根本的な見直しと生産性向上に生かそうとする前向きな意見から紹介したい。
「働き方改革は業務プロセスを見直す絶好の機会、乱立するシステムを統一し、シンプルな業務フローを構築すべき」という声だ。法規制で労働時間内に業務を追考するために真正面から業務プロセスの改善を目座素言うという意見だ。
法令順守のための対策という枠にとどまらず、従業員が本当に働きたいと思う企業を目指し、制度や業務プロセスの抜本的な見直しや改善を検討する意見は、実はそう多くはなく、ほとんどが戸惑いを表明するものだった。次でそれらを紹介する。
業務効率化なしの残業規制に不安、時間=報酬評価の同時変革が必須
働き方改革の法施行が先行し、社内の評価制度が追従していないと思われる不満の声が目についた。
いわゆるホワイトカラーの労働は、時間と成果が必ずしも比例するわけではないため、労働「時間」を重視する従来の勤務評価では評価しにくい業務も多い。だが働き方改革関連法では残業時間に上限が設定された。このため、残業時間を軸にした報酬体系を持つ企業は「労働時間が減り報酬も減る」という問題が発生する。こうしたことから、「残業時間削減で生産性が向上するのは良いが、向上した生産性は評価されるのか。単純に勤務時間が減ればプライベートな時間は増えるが給料は減る。ここを正当に評価できるようにしてほしい」というように、法改正による変化に否定的な意見が見られた。
この他にも、残業を削減する施策を持たずに法規制対応を実施した結果、「残業規制など理想ばかりでむしろ現場に負担をかけるダメ法律に思える」「仕事内容や作業量は変化なく、単純に残業規制が厳しくなった感がある」「企業の競争力をそぎ、結果として労働者への報酬ダウンなど悪影響が出ると推測する」といった法改正そのものへのネガティブな意見も多く寄せられた。
「中小企業と大企業、都心部と地方で、置かれている現場の課題はさまざまであり、一律でルールで統一するのは多くの課題が生じる」と、現場の負担が一掃増すことを懸念する声が多く寄せられた。
対策に着手しあぐねる中小企業、不安を抱える現場
中小規模の企業で多かったのが、「どのように進めていいか分からない」という声だ。
「今年(2019年)から会社として働き方改革に取り組み始めたばかり。外部のセミナーで他社の取り組みを聞くと、会社の規模や文化で内容が違うことが分かった。特に中小企業ではどうやれば良いのか、考えるきっかけがなかなかつかめない」という声に代表されるように、自社への落とし込みに苦慮する意見も多く聞かれた。
同様に「会社から具体的にどうするとの方針が発表されてない」「会社がどう対策をするのか発表がない」と会社全体で方針が定まっていないとする声も多かった。
見せて断捨離、リーダーシップの重要性を説く意見も
これに対して「仕事を削減・効率化するために現状分析して断捨離も交えながら、シーケンシャル作業の同時化などで『目に見える改革、改善』をしないと皆が付いてきてくれない」と、旗振り役が率先して効率化を推進し、具体的な代案を実行して見せれば現場は動くという意見も合った。
同様に、改革におけるマネジメントの重要性を説く意見は幾つか寄せられた。例えば「“働き方改革”という言葉だけが独り歩きして、具体的な残業を減らす方策なしに「早く帰れ」というのは筋違い。何らかのシステムを入れればそれで終わりのような対応では根本解決にならない。改革にはきちんとしたマネジメント、業務負荷低減のための統合的な検討が必要だ」といった声だ。
時間外労働規制に関して言えば、中小企業の猶予期間は残り約1年だ。現在どんなに混乱していたとしても、1年後には何らかの対策が済んでいる必要がある。
厚生労働省では昨年に続き、今年度も業務効率向上を促進する目的で助成金制度も実施する予定だ。過去にどういった企業がどのような内容で醸成を受けているかも開示されているので、参考にしてほしい。
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