顔認証、人体検知、紙文書の電子化。次々と進化する複合機の最新事情を実際に編集部で実験した。ワークスタイル変革の中心となり得る複合機の実力とは。
1980年代後半に登場した、プリンタ、コピー、FAX、スキャナを統合する「複合機」はネットワーク機能と高度な情報処理機能を搭載するようになり、スリム化、静音化してオフィスの片隅からセンターへと立場を変えた。
今ではモバイルやクラウドとの融合も果たし、オフィスのワークスタイルを変える「紙と電子情報との変換装置」として特別な情報機器に成長した。今回は複合機がどのように仕事を変えていくのか、最新の機能を中心に紹介しよう。
かつて印刷マシンとしての役割に偏重していた複合機は、文書の電子化=ペーパーレス化が進むにつれ、紙文書の電子化保管のための入力機として、あるいはプリントせずに送受信可能なFAXとして、さらに情報共有と個人専用ファイル保管場所としても利用できるように進化した。
そして今、クラウド連携やスマートフォン、タブレットからの利用も可能にし、また新たなワークスタイルを生み出そうとしている。
新しいワークスタイルへの対応として筆頭に挙げられるのがクラウドとの連携機能だ。その方法は大まかに3種ある。
1つはベンダーが提供しているクラウドサービスに複合機から文書をアップロードして使う、企業専用のオンラインストレージサービスだ(図1)。「ドロワー」や「フォルダ」などの階層構造で文書を保管し、ユーザーのアクセス権限に応じた利用が図れる。特にモバイル利用において情報漏えいリスクを少なくするために、モバイル端末からはダウンロードできない専用区画を設けることも可能だ。
また社内に文書共有サーバを置いたまま、ベンダー提供のクラウドリレーサービスを用いて社外からの利用を可能にするサービスもある(図2)。
ユーザーの個人用のパブリッククラウドに複合機からログインし、文書をアップロードしたり直接印刷したりすることができる。もちろんPCやモバイル端末からの利用も可能だ。もっともこれは管理者からすれば不安を覚える機能でもあるだろう。企業契約のサービスに限定し、かつ企業ポリシーに沿った運用法を整備する必要があろう。
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