最後に、プロジェクト管理ツールに関する課題や悩み、またはプロジェクト管理ツールベンダーに対する要望について尋ねた。その結果、「商用のプロジェクト管理ツールはERPと同様で、カスタマイズや後継バージョンに移行する際、コストがかかる点が非常に問題」といった運用コストを懸念する声や、「利用すべきタスクは多いと思うが、経営陣のプロジェクト管理に関する認識が低すぎる」「現場には良いツールでも経営層の関心度が低く、社内決裁から導入はハードルが高い」など、プロジェクト管理ツールの導入は経営層の理解を得ることが難しいといった声も少なくなかった。
プロジェクト管理ツールの利用は現場の担当者レベルだけでなく、事業戦略を握る経営層の参画も重要だ。経営層がプロジェクトの方向性や目標を定め、マネジメント層がプロジェクトの計画策定と進行管理、担当者が実働作業の情報共有や進捗報告を行うなど、プロジェクト全体に渡るプロセスをおのおのが管理しなければ、プロジェクト自体の目的や方向性がズレたり、進捗が遅れたりと、プロジェクトが失敗に陥る危険性が高まってしまう。
一方で経営層やプロジェクト上位者がツールを用い、明確な目標の設定やプロジェクト内容を分析することができれば、より質の高いプロジェクト推進につなげることができる。経営層は現場レベルの利便性を向上させるツールと考えるのではなく、プロジェクトの質を向上させるツールとして認識する必要があるのかもしれない。企業規模の大小にかかわらず、日ごろからプロジェクトが大きな失敗に陥らないよう管理するためにも、より有用なプロジェクト管理ツールを選定してほしい。
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