ここで、データ連携ツールの最新動向について概観していこう。データ連携ツールに限った話ではないものもあるが、あらためてしっかりとおさえておきたい。
クラウドの信頼性や利便性が向上したことで、例えばAWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドに自社の環境を展開し、オンプレミスとのデータ連携を行う企業が増えている。
ここで活躍するのがデータ連携ツールだが、データ連携ツールはオンプレミス環境に置くだけでなく、クラウド側に設置することも可能だ。クラウドに設置する場合は、自社でライセンスをクラウドサービスに持ち込むBYOL(Bring Your Own License)で利用することはもちろん、SaaSとして提供されているデータ連携のサービスが活用できる。
また、冒頭でも紹介した通り、アプリケーションやデータのポータビリティが向上しており、基本のプラットフォームはSalesforce.com上に、ストレージ環境はGB単価の安いAmazon S3上に配置するといったマルチクラウド環境での利用も増えている。こういった環境でもデータ連携ツールが活躍することになる。
もちろん、一度クラウドに環境を構築したものの、社内に設置していたころと同様のレスポンスタイムが発揮できずにオンプレミスに戻すといったこともポータビリティが向上している今の時代ならでは。データやアプリケーションがどの環境にあったとしても、円滑な情報伝達に欠かせない基盤となるのがデータ連携ツールなのだ。
なお、最近ではクラウドを利用したDWHソリューションであるAmazon Redshiftなどへの対応が各社からリリースされており、新たな環境にも柔軟に対応できるよう機能拡張が行われている。
もともとデータ連携ツールは、ERPとサブシステムとのつなぎやさまざまなシステムからデータを収集してDWHに投入する際の基盤といったエンタープライズアプリケーションとしての使われ方が多かった。
しかし今では、より業務に近い領域での活用も進み始めている。その最たる例がメールやExcel連携だ。勤怠管理を例に挙げると、これまで手作業で行われてきた勤怠時間の入力フォームであるExcelの内容チェックや会計システムへのデータ投入が、データ連携ツールを介在させることで自動化することが可能になる。Excel内の入力情報がロジックによって自動チェックでき、問題があれば担当者を介さずにそのまま従業員にメールで差し戻すことも可能だ。
さらに、データ連携ツール側でチェックされた後は、会計データや給与システムに直接データ投入することも可能になる。このように、日常業務に潜むムダを減らす業務自動化のツールとしても注目されている。
データ連携ツールではExcel連携用のアダプターも用意されており、スクリプトによってエラー部分の背景色を変えたり、けい線を変えたりなど、さまざまな対応が可能となる。Excel上で連携先が定義できるといった使い方も可能なものがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。