データ連携ツールは、これまで企業内にあるシステム同士を円滑につなぐためのデータ連携基盤として位置付けられてきた。しかしこれからは、GPSやセンサーモジュールなどさまざまなデバイスからもたらされる情報を円滑に処理し、データ分析を通じて業務の自動化につなげるIoT(Internet of Things)の時代に移り変わりつつある。
IoTの世界では、情報の収集から蓄積、転送、分析、予測、可視化などさまざまなシーンが想定されているが、これらをシームレスにつないでいく部分で期待されているのがデータ連携ツールだ。データ連携ツール側にもこれまで想定されてこなかったデバイスとのアダプター提供が求められてくるはずで、さらなる進化に向けた動きがますます加速してくると予想されている。
データ連携ツールがいかに簡便かということをあらためて理解するために、データ連携ツールを利用したクラウド連携の具体的な活用例を見てみたい。今回は、Salesforceとの接続に関して、実際にプログラミングする場合とデータ連携ツールを利用して行う場合の違いを比較してみる。
実際に手順を追う前の大前提として、それぞれクラウドプラットフォームごとに特有の癖が存在しており、実際の接続とともにその癖をうまく吸収する必要があることはしっかり念頭に置いておきたい。Salesforceとの連携については、ネットワークエラー時の再送処理や発行されるSQLクエリの合計数といった、Salesforce APIにおける処理の回数制限となる「ガバナ制限」などが注意するポイントに挙げられる。
実際にプログラミングを行う場合は、APIの調査および選定からSalesforceのDBにアクセスするためのSOQL実行処理の開発、そして結果データ生成処理の開発までおよそ7つのステップが開発上必要になる。このステップを見れば分かる通り、ある程度専門的な知識が必要になる。
しかし、データ連携ツールであれば、「接続情報の設定」「データ取得処理の設定」という2つのステップだけでSalesforceとの連携が行えるようになる。しかも処理の設定はアダプター化されたアイコンを貼り付けるだけ。データ連携ツールを使えば、さほど詳しくない人であってもデータ連携を行うことが容易だということが分かるはずだ。
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