前述した通り、業務部門の中からシチズンデベロッパーが台頭してきている今、専門家である情報システム部門だけでなく、業務に精通した担当者レベルであっても自分たちで触ってデータ連携できるような仕組みが提供されているかどうかは確認しておきたい。
製品によってはテンプレートが豊富に用意されていたり、やりたいことから逆引きで調べることが可能な逆引きヘルプ機能が用意されていたりもする。誰でも使えるような機能が実装されているかどうか、業務部門を巻き込んだ上で実際に試してもらいたい。
なお、単に見栄えがいいだけでなく、業務に沿った形でアダプターが用意されているかどうかも見極める大きなポイントだ。例えばDWHを含めた分析基盤を構築する場合、一般的にはDWH全体のテーブルから分析用のデータマートを作成して必要な分析を行っていくが、テンポラリとなるテーブルを一時的に切りだしていくためのアダプターを個別に提供しているところもある。
また、既にデータが格納されているDBやファイルにデータを投入する際に、既存の情報を照らし合わせながら追加や更新を行う処理が必要になってくるが、この追加更新処理をデータ連携ツール側で行ってくれるようなアダプターを持っていたりもする。単にAPIをマスクした形のアダプターではなく、業務に役立つ機能がどの程度実装されているか、しっかりとチェックしておきたい。
製品の多くがクラウドとの連携に向けたアダプターを提供しているが、実装レベルには差があるケースも少なくない。特にこれからはクラウドとの連携が必要になってくるため、クラウド特有の事情に合わせたアダプター実装がなされているかどうかはしっかりチェックしておこう。
例えば、クラウドの場合システムが落ちるレベルではないがパケットロスしてデータ送信に失敗するケースが実際に起こってくる。こういった事態を想定して、あらかじめ再送処理が自動的にオンの状態で実装されていると万一の時に役立つだろう。また、定期的なメンテナンスが発生することが想定されるクラウドとの接続については、何かしらの例外処理を検討しておく必要がある。そういったクラウドならではの事情を考慮に入れた実装が可能かどうかはしっかりベンダー側に確認しておきたい。
他にも、例えばAmazon Redshiftへデータを投入するためには幾つかの方法があるが、パフォーマンスを前提に考えるとAmazon S3に一度データを転送し、そこからデータコピーすることでAmazon Redshiftにデータ投入する方法が現実的だ。そういった業界の常識となっているノウハウがアダプター側に反映されているかどうかも見極めたい。
なお、Amazonの場合は転送量で課金されるため、データの圧縮、分割処理でアップロードできる機能を実装するといった、クラウドならではの事情に対応しているツールもあるのでしっかり確認しておこう。
データ連携ツールに限った話ではないが、どんな企業にどういった用途で活用されているのか、その導入実績はしっかりチェックしておきたい。導入実績は、機能の豊富さや対応力、パートナー企業の幅広さなどさまざまなものが反映された結果であり、信頼のバロメータとしても考えられるものだ。また、実績とともにツールに関する情報提供が積極的に行われているかどうかも見ておきたいポイントだ。ディベロッパー向けの情報提供も含めた形で情報がしっかり開示、提供されているかどうかも確認しておきたい。
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