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» 2015年07月13日 10時00分 公開

基幹システムを任せて大丈夫? 最新「IaaS」解説IT導入完全ガイド(5/5 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]
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 最後に、基幹系システム移行を前提にした場合に、IaaSを選択する主なポイントを3点指摘しておこう。

コストは期待通りに削減できるか?

 コスト面では事前に運用の変化を見越して必要なリソースの正確な見積もりを行うことが何よりも大事だ。IaaS利用の利点の1つはサイジングをきめ細かく行わずに短期間でのスタートが可能なことなのだが、データの外部転送料をはじめとする従量課金サービスの場合は運用の変化により当初のもくろみを大きく上回るコストが必要になることがある。

 また、当初予定していなかったセキュリティや可用性にかかわるオプションの追加もコストを押し上げる要因になる。オンプレミス同様とまではいかなくても、確固とした運用イメージを描いた上で必要リソースを考える必要がある。場合によっては業務システムの運用手法についてクラウドを前提とした見直しを加えることがコストを抑える鍵になる。

 料金体系には、時間単位および月単位での従量課金の他に月額固定制が選べる場合があり、利用量変動の有無やピーク周期に合わせてベンダーやプランをシステムに応じて選ぶことで最適化できる場合もある。運用の実態が分かっていれば、合理的なプランでコストを抑えることが可能だ。

 なお、IaaSが担う運用管理領域以上のサービスを別途提供するベンダーもある。運用管理工数はオンプレミス運用時代には見えないコスト化していることが多く、一見コストの上積みに見えるかもしれないが、実際には同品質の管理を自社内で賄うより低コストになる可能性が高いので、検討に値しよう。

性能、可用性、セキュリティは十分か?

 リソース共用が前提のサービスではこれらの要件が満たせない場合があるが、専用リソースを利用できるサービス、物理サーバのプロビジョニング機能、IaaS内でのHA構成、ハウジング環境や社内オンプレミス環境および他のクラウドとの連携、そして統合管理機能を上手に利用することで、性能や可用性は確保できる。

 冗長化するネットワーク機器やストレージのコスト、物理サーバの冗長化時のコスト、専用線や閉域網の利用コスト、システム監視など運用管理機能、ストレージやデータ転送性能、オートスケール機能なども合わせて検討したい。

 セキュリティに関しては各種セキュリティ関連のリソースが提供されており、外部脅威への対策はオンプレミス同様にとることができる。一方、内部不正に関する対策としては外部からの監査や証跡管理のための機能が提供されるかどうかが1つのポイントになるだろう。

 ベンダーによっては特権ID監視機能(操作ログや操作画面キャプチャーなど)や申請、承認ワークフローベースのアクセス管理サービスを提供している場合もある。オンプレミスシステムも同じサービスを利用可能なので、社内に特権ID管理システムが未整備な場合はこれを利用するのが得策だ。

 なお、外部委託先のシステムに内部統制が効いているか否かを第三者の立場から評価、保証するSOC報告書(Reporting on Controls at a Service Organization)がユーザー企業に提供されるかどうかはベンダー選びの1つの目安になりそうだ。

 SOCは米国公認会計士協会ではSOC1、SOC2、SOC3の3分類で基準が決められており、国際監査・保証基準審議会および日本公認会計士協会でも同分類にのっとった基準がある。クラウドベンダーやデータセンター事業社についてはSOC2の保証報告書が該当する。ベンダーにこの提供が可能か否かを質問しながら、対策について詳しく聞いてみるとよいだろう。

既存オンプレミスシステムをスムーズに移行できるか?

 既存システムのIaaS移行には、既存側の物理マシンおよび仮想マシンのイメージ化がまず必要で、そのイメージをネットワーク経由、あるいは媒体の直接搬送によってIaaSベンダー側に届け、イメージを基にIaaS内の環境を構築していく作業がいる。テスト運用の後に場合によってはIaaSから元の物理マシンに戻す必要が出てくる場合も考慮して、移行の難易度を想定するとよい。

 自社で担当者がイメージのエクスポート、インポートを行うことができれば簡単だが、物理マシンのイメージ化などの作業が煩雑な場合には、移行作業をベンダー側の移行サービス(代行サービス)に任せることもできる。別途コストは発生しても、手戻りなく確実な移行が期待できよう。

 また、ベンダーから移行用の無償ツールが提供されている場合もある。特別な専門知識がなくともウィザード形式で移行を完了できるケースがあるので、試用してみるとよいだろう。

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