エンタープライズとしてのセキュリティ機能を備えることで、オンラインストレージは個人用のファイルの保存場所や特定ユーザー間のファイルの受け渡し手段のみならず、会社や組織の枠を超えたコラボレーションのための情報共有基盤となる。
例えば、あるオンラインストレージでは、次のような3種類の共有設定により、本人、組織内、組織外のユーザーと情報を共有することが可能な仕組みを提供している。
非公開
ファイルの所有者のみが利用可能
公開
所属組織の全てのユーザーが利用可能
共有
指定したユーザーが利用可能
さらに、情報の「公開」または「共有」を行う組織やユーザーに対して、ファイルの参照とダウンロードのみが可能な「読者」、加えてファイルの新規バージョンのアップロードまで許可する「編集者」といったアクセス権限を設定して組み合わせることで、情報をコントロールすることが可能となっている(図6)。
複数のユーザー間で情報を共有できるようにするだけでなく、Officeドキュメントなどの共有情報に対するオンライン編集も可能とすることで、チームのコラボレーションを促していくというのが、近年のオンラインストレージのトレンドだ。
そこで注目したいのが、ビジネス向けDropboxにて提供される「バッジ」および「コメント」の2つの機能である。
バッジとは、オンラインストレージ上で共有ドキュメントを開いたまま、そのファイルのステータスを確認できる機能だ。例えば、自分以外のファイルの閲覧者や編集者、最新バージョンを確認することが可能、また、その場からクリック 1回でファイルを更新したり、ドキュメントの共有リンクを生成したりすることもできる。これにより、「関係者間でメールを何度もやりとりして調整する」「ファイルの複数のバージョンが乱立して混在する」「編集を行うたびにアプリケーション間を移動する」といった煩わしさが解消される。
一方のコメントは、共有情報に対して各ユーザーが意見を記すことができる機能であり、コラボレーション時に多大な手間をかけていたフィードバックの収集作業を効率化する。例えば、デザインチームやマーケティングチームから寄せられた修正イラスト案に関する一連のコメントを、その場からまとめて検索、リストアップすることができる。
個人に閉じた編集作業もさることながら、1つのファイルを複数メンバーで共同編集を行う際には、そのファイルの履歴(世代)をいかに保存し、管理するかが大きな課題となる。
仮に各自が編集を行った都度コピーを残していたのでは、異なるバージョンの無数のファイルが乱立し、プロジェクトに混乱を招きかねない。また、コピーするのを忘れるといったミスが発生した場合、元に戻れなくなってしまう。
そこで役立つのが、ファイルの世代管理機能だ。オンラインストレージ側で履歴が自動的に保存されていれば、目的のバージョンにいつでも、すぐに復旧することができる。
また、各世代のファイル間の差分データは、各ユーザーに割り当てられたストレージ容量とは別枠で保存されて同期がとられるなど、サービスを有効活用する上でも大きなメリットがある。
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