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IoTの基礎知識、4年後には16兆円市場になる魅力とは何かIT導入完全ガイド(1/4 ページ)

国内市場は2019年に16兆円になるとも言われ、大注目のキーワードとなっているIoT。一方、ユーザー企業では「IoTって何?」「ビジネスにどう生きるの?」といった声も。

» 2015年11月24日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 国内のIoT市場は現在トータルで9兆円、年12%で成長して2019年には16兆円の市場になると見込まれている(IDC Japan調査より)。IT業界内では成長が確実に見込める領域であるだけに注目度は高いが、ユーザー企業からは「IoTって何?」あるいは「ビジネスにどう生きるの?」との声が聞こえ、まだまだ具体的な導入検討段階に至らない場合が多いようだ。今回は、IoTを理解し活用するための基礎知識として、まずはIoTの全体像を整理してみたい。

IoTって何?

 「モノのインターネット」と呼ばれてキーワードとしては広く知られるIoT(Internet of Things)だが、「Things」の解釈はさまざまで、最近では「モノとコト」を含むといわれたり「世の中の森羅万象が対象」とまで広げて「IoE(Internet of Everything)」と言い換えられたりしており、とらえどころがないと感じる人も多いだろう。

 もともとは工場などに設置された多数のセンサーで機械の動作状況や環境変化などを監視し、制御に役立ててきた技術の発展形。特別な技術的変革が急に現れたわけではない。徐々に進んでいた各種センサーなどデバイスの低コスト、多機能、高性能化、ネットワークの高速化、IPv6化、クラウドの普及、移動通信技術やサービスの発達、ビッグデータ分析技術の高度化などの多面的な技術発展と、同時に発展してきたコンシューマ領域でのスマートデバイス、ウェアラブルデバイスなどの進化および利用の普及が合体して、これまで工場や企業の枠の中に閉じ込められてきた技術が、企業間、業界内、サプライチェーン全体、あるいは社会インフラ全体といった広い範囲で利用可能になってきたことが背景にある。そこで集まる膨大なデータをうまく利用すれば、これまでにない「何か」ができるはず……というのがIoTの発想だ。

 IoTで可能になる「何か」があまりに広い領域に及ぶので具体像がかえって見えにくいのだが、突き詰めれば生産性の向上と新しい価値の創出(企業にとっては新ビジネスモデルの創出、社会にとっては利便性の向上や公共・福祉・エネルギー利用の効率化など)ということになる。価値創造のために、さまざまな物理現象や人間行動などをデータ化するデバイスからの情報を、通信によってデータベースに集約し、ビッグデータ分析(人工知能や機械学習技術を利用することもある)を行い、その結果を現実世界にフィードバックするのがIoTの価値創造プロセスだ(図1)。

IoTによる価値創造プロセス 図1 IoTによる価値創造プロセス(出典:NEC)

 今では実際の事例が幾つも出てきており、数年のうちには実現しそうな想定事例も多数あって、もはやIoTはただのコンセプチュアルなキーワードではなくなった。詳しいユースケースは次回以降の記事に譲るが、ここで大枠を簡単に紹介してみよう。対象となる領域を大別すれば、社会インフラと産業の2つだ(図2)。

IoTによるイノベーションのイメージ 図2 IoTによるイノベーションのイメージ(出典:富士通)

 産業と社会インフラのイノベーションをIoTによって推進しつつ、従来の基幹系システムや情報系システムはそれと密接に連携できるようにモダナイゼーションを図るのが基本的なイメージだ。では、2つの領域でどんなイノベーションが想定されているのだろうか。

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