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IoTの基礎知識、4年後には16兆円市場になる魅力とは何かIT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2015年11月24日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

社会インフラ領域は「スマートモビリティ」と「スマートグリッド」などがけん引

 社会インフラでのIoT推進で特に期待されているのは自動車や主要道路に備えたセンサーから得られる各種情報を基に、渋滞緩和や事故防止などの最適制御に役立てる「スマートモビリティ」だ。

 車の運行状況をエリア全体でモニタすれば、リアルタイムの最適ルート選択や危険の発生を予測して回避することができる。さらに街灯に備えたセンサーの情報を使う道路照明の最適制御も考えられており、快適性や安全性が向上するのはもちろん、省エネルギーやCO2削減、物流の効率化にもつながる。

 また通信機能を持った電力計(スマートメーター)を利用し電力消費状況をリアルタイムにモニターして、需要に見合う電力(発電や蓄電)調整を行う「スマートグリッド」は、自然エネルギー利用を拡大する重要要素と考えられている。HEMS、BEMS、CEMSと呼ばれるエネルギー管理技術も家庭、オフィスや工場、地域に備えられた多数のスマートメーターからの情報集約を前提にしている。

 加えてヘルスケア領域では、各種のウェアラブルセンサーからの情報によるセルフケアおよび医療・介護サービスの高度化や世界的な情報蓄積、活用による診断の迅速化などが注目されている。

 これら3領域の他には、温度、湿度、光量、ガス、放射線などのセンサーを用いた環境モニターシステムにも期待が高い。主に農業分野での生産性向上や公害予防などの環境改善のために既に使われているが、これがより一層広い圃場全体や地域全部をカバーすることで、飛躍的な効果がもたらされると考えられている。

 加えて、人感センサーやカメラを用いた犯罪防止システムも、広範囲に収集した情報を蓄積して利用することで、一層の効果が発揮できるとされる。

 各国では政府が中核的な企業とともにこれら領域のIoT活用に注力しており、例えばシンガポールのSmart Nation Platform、台湾とフランスが連携する「IoT Lab」などの事例があり、インドなどでもスマートシティ化計画が進んでいる。米国、ドイツ、英国、中国、韓国も国策としての取り組みが盛んだ。

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