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IoT時代の企業間競争に勝つために検討すべき10の戦略的選択肢KeyConductors(3/3 ページ)

» 2016年01月27日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]
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企業は「10の戦略的選択肢」の検討を迫られることになる

 ポーター教授は1980年に著書「Competitive Strategy(競争の戦略)」を発表し、その中で5つの競争要因(5 Forces)を提示した。買い手の交渉力、既存企業同士の競争、新規参入者の脅威、代替品や代替サービスの脅威、サプライヤー交渉力である。

 今回の論文ではこの5つの競争要因の観点から、接続機能を持つスマート製品が業界や企業間競争にもたらす影響を分析しているという。

「接続機能を持つスマート製品の登場によって、製品の運用の仕方が変わってきただけでなく、製品が他の製品やシステムとも連携できるようになってきた」

 例えば農業用トラクターがスマート化することで、他の製品と通信したり、あるいは気温、土壌、風の状態を管理している他のシステムと連携したり、さらにそうしたシステム全体を管理している「システムのシステム」とも接続することが可能になってきている。企業間の競争は、製品自体の機能から、製品システム全体としての性能へとシフトしているということだ。

「接続機能を持つスマート製品は、従来の業界の構造そのものを変え、さらにはその境界線を外に押し広げていく。こうした新たな環境が作られつつある状況を企業として考えた場合、大きなビジネスチャンスにもなるし、逆に脅威にもなり得る」

 例えば企業は、業界の中でより幅の広いサービスを開発して提供することが可能となり、また新たなビジネスモデルに移行することもできるだろう。しかしこの変化に素早く対応できない企業は、他の企業が業界に参入してくる、あるいはIT企業が自分の業界で新たなサービスを提供し始めるという脅威に脅かされることになる。

「接続機能を持つスマート製品やIoTの世界に進もうとしている企業は、まず自社業界の状況を正しく分析し、必要に応じて変化していくことが求められている。そのためには、以下10の戦略的選択肢を検討していくことが必要だ」

  1. どの製品機能を追求するか
  2. 機能は製品に組み込むか、クラウドか
  3. 開放的なシステムか、閉鎖的なシステムか
  4. 技術開発は社内か、外注すべきか
  5. どのようなデータを取得すべきか
  6. データの使用権、アクセス権をどのように管理するか
  7. 販売、サービスチャネルを排除すべきか
  8. ビジネスモデルを変えるべきか
  9. データを第三者に販売するか
  10. 事業範囲を拡大すべきか

 後編では、接続機能を持つスマート製品やIoTが企業内にもたらす影響について紹介する。

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