こうした理由から、一時はランブックオートメーション製品への関心が薄らいだ時期もあった。しかし、冒頭で述べたように近年多くの企業で再びシステム運用管理の自動化、省力化の切実な要望が持ち上がるに従い、徐々に注目度を高めつつある。
こうした動きに呼応して、主要ベンダーからはさまざまな自動化ツールが提供されるようになったが、かつての轍を踏まないよう、それぞれが新たな工夫を盛り込んでいる。どの製品も、従来のランブックオートメーション製品の流れをくんではいるものの、共通しているのはかつてのように「全ての作業を自動化して、一気に省力化を目指す」のではなく、もっと現実的なシナリオ、すなわち「段階的な自動化」を前提としている点だ。
例えば、現在IBMがベータ版を提供しているSaaS型ランブックオートメーションサービス「IBM Runbook Automation」は、システム運用管理の現場で行われている作業手順を「作業手順を標準化・明文化したもの」「手順の中の一部を自動化したもの(セミオートメーション)」「一連の手順全てを自動化したもの(フルオートメーション)」の3段階のレベルに分けて、それらを同じ基盤上で管理、実行できるという。
また日立製作所が提供する「JP1/Automatic Operation」では、異なる切り口から段階的な自動化に対してアプローチしている。多くの企業が日々行っている典型的な運用タスクの「ワークフローのテンプレート」を多数用意し、ユーザー企業はこれらのテンプレートの中から、自社で頻繁に繰り返し実行されている作業手順を選び、自社の要件に沿った最低限のカスタマイズを加えることによって、自動化の優先度の高い作業から手軽に自動化に着手できるという。
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