そもそも労基法では「始業・終業時刻の確認および記録」が義務とされており、その記録は3年間保管しなければならないことになっている。記録の方法としてタイムカード、ICカードなどの客観的な記録を基礎とすることが定められており、自己申告制については実態調査などの条件つきで認められているだけだ。
また自己申告制の場合でも現実的に多数の従業員対象に実施するのは、人手に頼る方法では難しいだろう。勤怠管理のためには、何らかのツール導入は事実上不可欠といってよい。
勤怠管理にタイムレコーダーを利用する企業が現在でも大多数であり、かつては紙に打刻されたタイムカードを人事、総務部門が手計算していたが、現在はタイムカードを利用していてもタイムレコーダー側で打刻時間と従業員をひも付けてデータ保持し、勤怠管理用サーバにデータを集約して管理する手法が主流だ。
打刻にはICカードや指静脈などの生体認証デバイス、PC入力、スマートフォン入力(図3)なども使われるようになり、従来型のタイムレコーダーを設置せずにICカードリーダーや生体認証デバイスを代わりに設置するケースも多くなっている。
従来型のタイムレコーダーとカードによる打刻手法では、直行直帰が常態の営業職などには向かないし、ペーパーレスオフィスには逆行することになる。在宅勤務やノマドワーカーにも適さない。スマートデバイスによる打刻はこの課題への最も簡便な解決になりそうだ。位置情報と関連付けながら正確な時間を管理できるため、出退勤の虚偽申告を防ぐことにもつながる。
とはいえ対象者がスマートデバイスを持っていなければならず、それを会社が支給するのか、BYODを実施するのか、また運用管理をどのようにするのかという別の課題も生まれている。ただし管理法さえ合意できれば、BYODになじみやすい手法といえるだろう。
生体認証を利用するのもペーパーレス化に一役買うと同時に「私のタイムカードも押しといて」というような不正打刻を防ぐのに効果的だ。汎用(はんよう)PCなどに接続するデバイスは数万円程度と比較的低コストなところも長所である。
ICカードも、同様に不正打刻を防ぐ効果があり、他の用途にも利用可能なところが魅力だ。ただし少々値が張るところが痛い。その弱点をカバーするように最近登場したのが、PCまたはタブレットのカメラにかざすだけで認証可能な2次元カラーバーコード「カメレオンコード」だ。
勤怠管理ツールの一部でサポートされるようになり、プリンタで作成できる手軽さと低コスト性、QRコードの50倍の距離から認証可能なところから、IDカードなどの用途としてこれから利用が広まりそうだ(図5)。
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