なお、ミリ波帯としては、前述したように72GHz〜100GHzの帯域での56Gbpsが世界最速。こちらの研究では16QAMを採用している。それでも高速化できたのは、2つの技術開発が関わっている。
1つは、データ信号を2つに分けて、それぞれを異なる周波数帯へ変換してから混合する技術(図3)、もう1つはチップ上の配線パターンの工夫による、導波管と基板の間の効率的なインタフェースの開発だ。これにより低損失化が実現した。
低周波数帯信号、高周波数帯信号のそれぞれ10GHz幅ごとに変復調を行うようにしたところ、20GHz幅の超広帯域信号においても低雑音の変復調が実現した。これら技術を利用し、室内で10センチの距離に置いた2台のモジュールを対向させて行ったデータ伝送試験で、56Gbpsの通信速度が実証された。
今回取材した東工大工学院電気電子系の岡田健一准教授によると、この方式を洗練させれば100Gbpsまでの速度向上はそう難しくないとのことで、300Gbpsも視野に入れた研究が行われているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。