次に、「無線LANを導入した目的」を聞いた。全体では、1位が「会議室や打ち合わせスペースでノートPCを持ち込むため(66.5%)」、2位が「配線の煩雑さを解消するため(51.8%)」、3位が「柔軟なオフィスレイアウト(フリーアドレスなど)を実現するため(36.2%)」、4位が「タブレットやスマートフォンを活用するため(29.5%)」と続いた。
企業規模別に見ると、100人以下の中小企業では「配線の煩雑さを解消するため」が60.9%で最も多く、1001人以上の大企業の45.1%と15ポイントの差をつけるも、「柔軟なオフィスレイアウト(フリーアドレスなど)を実現するため」では中小企業が34.8%であるのに対し、大企業では43.9%と10ポイントほど多く、大企業では配線の煩雑さよりも、柔軟なオフィスレイアウトの実現が重視される傾向があるようだ。
また、業種別に見ると「流通・サービス業」で「タブレットやスマートフォンを活用するため」が38.5%と高く、他の業種と比べ10ポイント以上差をつける結果となった。これは店舗などでタブレットやスマートフォンを活用しているケースが多いことが影響していると推測できる。
最後に、「無線LANの導入時に重視したポイント」について、選択肢から上位3つを選んでもらった。導入済みの人が「最も重視する」と選んだ項目は、多いものから順に「導入・運用コスト(31.5%)」「セキュリティ(21.6%)」「集中管理(12.2%)」「可用性・安定性(9.9%)」「回線速度(7.5%)」となっており、コストと管理面の都合が最優先になっているようだ(図2-1)。
企業規模別に見ると、100人以下の中小企業ではセキュリティを重視する傾向が9.5%と全体より10ポイントほど低い数値を示した。中小企業ではコストや回線速度などが優先されており、セキュリティについては二の次になってしまっているようだ。
ちなみに、1〜3位の合計(総数)で見ると「導入・運用コスト(70.0%)」「セキュリティ(48.8%)」「回線速度(35.7%)」「可用性・安定性(29.6%)」「運用・メンテナンスの容易さ(27.7%)」「集中管理(24.4%)」「Wi-Fi対応(18.3%)」「既存システムとの親和性(15.0%)」と続くことから、「回線速度」「可用性・安定性」「運用・メンテナンスの容易さ」を2、3番目に上げている回答者が多いことがうかがえる。
一方、導入予定の人が1位に選んだ項目を見ると「セキュリティ(37.5%)」「導入・運用コスト(23.4%)」「可用性・安定性(12.5%)」「集中管理(12.5%)」の順となっており、導入済みに対し「セキュリティ」と「導入・運用コスト」の順位が逆転している(図2-2)。昨今、情報漏えいやそれによる事故・報道が増加していることがセキュリティを最重視する結果に影響していると予想される。
前編では、無線LANの「導入状況」や「満足度」「導入目的」「導入時に重視したポイント」などをレポートした。無線LANの導入に当たっては、導入や運用関連のコストが重視されていたが、今後導入する人はセキュリティ面を重視する傾向が強くなっているようだ。
後編では「無線LANの規格」「無線LANでのセキュリティ対策」「無線LANに関するトラブルの有無、内容」などについてレポートする。
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