いまあるデータベースを速くするには? 最新データベース技術の「うまみ」を最大化するには? 最新の技術トレンドをソフトウェア/ハードウェアの両面からチェックしておこう。
業務システムの中核をになうデータベースシステムは、その遅延やエラーが業務の遅延や損害に直結する可能性がある。常にボトルネック解消のために注力するのはもちろんだが、来るべき次世代ITインフラに向けた選定眼を持っておく必要がある。最新技術トレンドを確認しておこう。
「Internet of Things(IoT)」「ビッグデータ」「AIのビジネス活用」といった技術トレンドが注目を集めるが、足元のデータ基盤をどう整備していくか─。恐らく、いま企業内で何らかのデータを扱うインフラ部門担当者、業務システム運用担当者にとって、この問題は中長期的な課題の1つだろう。当然、最新のデータベースソフトウェアもこうしたトレンドに合わせて、進化を遂げている。2016年は主要な商用データベース製品の最新版が出そろうタイミングなので、次のシステム更改に向けてそれらのデータベース製品に盛り込まれる機能や設計思想はチェックしておきたいところだ。
Oracle Database 12cでは、「プラガブルデータベース(PDB)」とEnterprise Managerを活用した運用管理効率化が目玉機能になっている。複数のPDBを「コンテナ」単位でまとめて運用でき、無停止でのローリングアップグレードも可能になっている。加えて、Oracle Big Data Applianceなどを組み合わせてHadoopと接続できたり、グラフデータが扱える「Oracle Spatial and Graph」といった、従来のRDB以外の機能を盛り込んだオプション機能を提供する。インメモリデータベース機能もオプションの1つとして提供されている。
この他、ハイブリッドクラウド環境への対応として、Oracle Cloudとの連携機能も提供される。
SQL Server 2016では、パブリッククラウド領域のデータベース「SQL Database」を柔軟に利用できる「Stretch Database」や、「Always Encrypted」による暗号化などの機能が盛り込まれた。このほか、SQL Server 2014で実装されたインメモリOLTPは2TBまで拡大、OLTPとOLAPのインデックスの両方を同時に持つこともできるようになっている。また、データ分析向けのプログラム言語「R」の実行環境などが、オプションではなく標準で搭載されている。
インメモリデータベースといえばERPベンダーとして知られるSAPが手掛ける「SAP HANA」も忘れてはならない。このほか、「IBM DB2」でも「BLUアクセラレーション」という独自のデータ圧縮技術を使ったインメモリカラムナデータベースが搭載され、「SPSS」のようなデータ分析ソフトウェアとの組み合わせで高速にリアルタイム分析ができるなど、従来のリレーショナルデータベースとは異なる機能が盛り込まれている。
主要な商用データベース製品の動向を見ても分かる通り、いまデータベース周辺の技術は転換期を迎えつつある。とはいえ、「では早速アップグレード」と簡単には行かないのが業務システムのデータベースだ。
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