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「4部屋に1部屋は空予約」という実態を解消する「会議室予約システム」最新事情IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2016年10月11日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]

会議室利用の実態をリアルタイムに把握して“空予約”を回避

 会議室予約システム(運用も含む)は前述した課題を解決し、より効率的で円滑な会議運用を目指すものである。中でも最も期待される効果は、やはり会議室の空予約をなくすことにある。

 空予約が発生する根本的な原因は、システム上で管理されている会議室のステータスと、現実世界の会議室の利用状況との間に食い違いが生じるところにある。ならば、現実世界の会議室の状態をリアルタイムにシステムに反映させてやればいい。こうした発想から生まれたのが、会議室予約システムだ。

 会議室のドア付近に、ディスプレイを装備した専用デバイスを設置する。会議室を利用するユーザーは、まずこのデバイス上で「利用開始」の操作を行う。するとデバイスのディスプレイには「使用中」の状態が表示され、利用開始時刻が記録される。もし予約時刻から一定時間たっても利用開始の操作がなされない場合、予約は自動でキャンセルされ、会議室の状態は「空き」状態となり他のユーザーが予約可能となる。こうした仕組みにより、空予約によって会議室が無駄におさえられてしまう状況を回避するのだ。

 ちなみに内田洋行のSmartRoomsでは、会議室入口に設置したデバイスのディスプレイが、予約中の場合は赤に、空きの場合は緑で表示され、遠目からでも一目で会議室が空いているかどうか直感的に判断できるよう工夫が凝らされている(図1参照)。また会議室エリアの入口付近やロビーに大型のディスプレイデバイスを設置し、そこで全ての会議室のステータスを一覧できたり、その場で予約やキャンセルの操作が行える仕組みを導入している企業も多い。

会議室の利用状況が直感的に分かる 図1 会議室の利用状況が直感的に分かる。会議室予約システム「SmartRooms」の例(出典:内田洋行)

会議室の正確な空き状況を即座に把握

 会議を終える際は、同じくデバイス上で「利用終了」の操作を行うと、システムが管理する会議室のステータスも「利用中」から「空き」へと即座に更新される。これにより、会議が予定より早く終わって空いた会議室を、他のユーザーがシステムを通じて即座に見つけられるようになり、会議室の稼働率をより一層高めることができる。

 逆にもし会議が長引いてしまい、時間延長を行う際も、デバイス上から利用延長の可否が即座に分かるようになっている他、多くの会議室予約システムでは、会議終了予定時刻の10分前になったら電話やランプで通知することも可能だ。

 ただし、こうした仕組みが有効に機能するには、会議の開始/終了時にユーザーがきちんと「利用開始」「利用終了」の操作をデバイス上で行うことが前提となる。中にはユーザーがこの操作を度々忘れてしまい、システムに会議室のステータスが正しく反映されないこともあるという。もちろん、あえて手動操作を残すことで、ユーザーに会議室の利用マナー意識づけさせる運用をする企業も存在する。

 ちなみに、日本クレストロンが提供する会議室予約システム「Crestron Fusion」では、そうした課題に対応するために、人感センサーと連動して、人が会議室に入室したら自動的にステータスを更新する仕組みを備えている(図2)。また、会議開始と終了の操作を習慣付けるために、会議室の利用に課金制度を導入し、ユーザーがコストを意識することで会議室の無駄な利用を減らそうと試みる企業も出てきている。

人感センサー 図2 人感センサーと連動して、会議室の利用状況をリアルタイムに把握する(出典:日本クレストロン/イトーキ)

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