次に製品別に見てみると、ハードウェア価格が下落し、ハード市場の伸び率の低下が止まらない。これはここ数年来同じ傾向だ。サーバ分野では国家プロジェクトによるスパコン開発などの大規模投資があるときには成長率が上がるが、それは一時的なこと。ここ数年のスパンではそのような大きなイベントは見込めない。
またPC分野では、OSのEOS(サポートサービス期間終了)があるときにはやはり投資が活発化するものの、その翌年には一段と投資が抑えられる傾向がある。そのサイクルを繰り返しながら、徐々に市場が縮小しているのがこれまでのトレンドだ。
一方でプラス成長を維持するのはソフトウェアとITサービスの領域だ。ソフトウェアの成長率は大体4%台、ITサービスはほぼ1%台で推移している。クラウド化の進展はその一要因である。しかしこれが大きくIT市場をけん引するかというと、なかなかそうはなっていない。
海外のIT市場は2016年に2〜3%の伸びが予測されている。その伸びをけん引しているのは、米国ではソフトウェア、中国などの新興国ではモバイルを中心としたハードウェアだ。
そのように海外では何らかの製品が市場全体をけん引しているのだが、日本では市場のけん引役となる製品が見当たらない。新興国と違いハードウェアが既に広く普及している日本では、本来はソフトウェアが市場をリードしていきそうなものだが、その伸びはいまひとつである。これが今後5年を見ても成長率が伸び悩む理由の1つになっている。
図2に見るように、特に米国に比較して日本のソフトウェアの市場シェアは著しく低い。2016年のシェアを比べると10ポイントほどの開きがあり、今後もその差はなかなか縮まらない。さらに若干は開きそうだ。2020年に米国はソフトウェアのシェアが35%超となる見込みなのに対し、その時点で日本は25%にも満たない。やっと米国の2009年以前のシェアと同程度になるかどうかというレベルである。
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