Kaspersky Labが、2016年度のサイバー脅威の統計を公開。1年間に検出したランサムウェアの亜種は5万4000種以上にもなった。
ロシアのKaspersky Labが、2016年度のサイバー脅威の統計(『Kaspersky Security Bulletin 2016』)を公開しました。同社製品での観測結果を基にしたものです。この中で、日本は暗号化型ランサムウェアの攻撃を受けたユーザーの割合が最も多い国という結果が出ています。
2015年後半から急速に脅威を拡大しているランサムウェアは、標的に感染するとPCやファイルサーバ内のデータを勝手に暗号化し、使用不可にするマルウェアです。そして、解除キーと引き換えにビットコインなどで身代金(ランサム)を要求してきます。
最近では、法人を標的とするランサムウェアが多く出回っています。なぜならば、データが使えなくなると業務が止まってしまうため、身代金を支払ってでもデータを取り戻そうとする企業が確実に存在するからです。また、金額も100万円以上が狙える“おいしい市場”でもあります。実際に2016年2月には、電子カルテをロックされてしまった米国の病院が約200万円の身代金支払いに応じたと発表しました。
ただし、身代金を支払ったとしても確実にデータが復旧できる保証はありません。また、犯罪者が容易に金銭の入手に成功することで、さらなる攻撃の高度化が進むという批判もあります。根本的な対策としては、セキュリティ対策ツールを常に最新の状態にしておくことでランサムウェアの感染を防ぐことですが、それでも感染してしまうことに備えてデータのバックアップを小まめにとっておきたいところです。
さて、Kaspersky Labの報告の中からランサムウェアに触れている部分を読み解いていきましょう。同社がこの1年間に検出したランサムウェアの亜種は5万4000種以上、新種も62件発見しています。その多くは“素人”のような実力の低いプログラマーが作った低品質のものですが、広範囲にまん延するランサムウェアのトップ10には“実績”のあるものが並んでいます。
このうち、3位の「TeslaCrypt」は2016年5月に突如、開発者が公開停止とマスター復号キーを公開して謝罪するという非常に珍しい形での最後を迎えました。しかし、ポストTeslaCryptの座を巡って開発競争が進むなど、ランサムウェア全体を見るとまだまだ活発な活動が続いています。
広範囲にまん延した暗号化型ランサムウェアファミリー上位5種
なお、同社は「暗号化型ランサムウェアの攻撃が多い上位10か国」というランキングも公表しています。これは、同社製品を使う全ユニークユーザーのうち、暗号化型ランサムウェアの標的になったユニークユーザーの割合を示したものですが、1位は「日本」となりました。
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