小野氏は今後もユーザー部門からのオーダー次第でライセンス数を増やしていきたいと語る。
「今はまだ多くの企業が、情報システム部がユーザー部門からこんな形でデータを見たいという依頼を受けて画面を設計していると思いますが、セルフサービス型のBI製品であるTableauは、新入社員でも使いこなすことができる簡単なツールです。当社でも現状では決まったレイアウトにデータを取り込んでビュワーで見ているユーザーもいますが、ユーザー部門が自分たちでもっと自由にビューを作りたいということであれば、ライセンスを付与して画面の設計自体も吸収してもらうことができる。そういうフェーズにそろそろ来ていると認識しています」(小野氏)
また、同社のCTOである小野氏は、日本を代表するIT企業として今後のIT戦略にAIとクラウドの活用を挙げている。
「例えばテクニカルサポートセンターのFAQシステムに機械学習を適用することで、顧客から問い合わせが入った瞬間にFAQデータベースに問い合わせをかけて、マッチングスコアの高い上位3つの回答をオペレーターのモニターに表示するという仕組みを実現することができます。その対応結果をFAQシステムにフィードバックすることで、学習の精度はさらに上がっていく。AIを活用することで、今までとは桁が異なるレベルでの業務効率化を図っていくことが可能になると考えています」(小野氏)
またクラウドは、アジリティ(=俊敏性)、フレキシビリティ(=柔軟性)、スケーラビリティ(=拡張性)というメリットをユーザー企業にもたらすソリューションだが、小野氏はこのうちのアジリティとフレキシビリティが、高橋氏の挙げた変化、スピード、スモールスタートという3つの要件に合致するものだと説明する。
「クラウドを利用してフレキシブルに、アジャイルに動ける下地を作り、なおかつAIを取り込むことで、今までとは桁違いの効率化を図っていく。これはユーザー企業としてのわれわれのIT戦略でもあり、IT企業としてお客さまに価値提供するためのIT戦略でもあります」(小野氏)
先ほど紹介したが、同社はTableauのパートナーとなってセルフサービスBIの導入を支援するとともに、DataSpider forTableauを活用したデータ・プレパレーション(=前準備)サービスも提供しており、小野氏は今回の経験を元に自社のサービスについて次のように語っている。
「経営の見える化について、『変化とスピード』『スモールスタート』に対応するという視点で考えた時、セルフサービスBIが有効な手段の1つであることが分かりました。またそれを有効に使いこなすにはデータの前準備が大事な要因となることも実感しました。当社自身が課題解決に取り組む中で培った経験を当社のお客さまに提供することで、お客さまの課題を解決できると考えております」(小野氏)
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