コンピュータ自体を水没させて冷却電力をほぼゼロにする水没コンピュータが登場した。省エネデータセンターの構想とは。
今回のテーマは究極の省エネデータセンターを目指す「水没コンピュータ」だ。CPUやメモリが載るマザーボード(基板)全体を水中に沈めることで、データセンターの消費電力の半分を占めることもある冷却用電力をほぼゼロにしようという試みだ。
空冷、間接水冷など、これまでの技術では実現できなかった高効率な冷却を低コストに実現し、将来的にはPUE(Power Usage Effectiveness、電力使用効率)1.0に極めて近い水中データセンターの構築も視野に入る。一体どんな研究なのか。
水没コンピュータは、コンピュータを水中に沈めて稼働させ、水中に熱を放出することで効率的に冷却を行う技術だ。CPUやメモリが搭載された基板を丸ごと絶縁性の樹脂薄膜でコーティングし、全体を水に直接浸して効率的な冷却効果を実現する。情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下、NII)の研究チーム(鯉渕道紘准教授、藤原一毅元特任准教授)が2013年から開発を始めた。
実物を図1に示す。図の左が最新の「水没コンピュータ」の基板、右が一般的な空冷方式の基板の例だ。一見して左側にはCPU上にファンがないのが分かる。その他はほとんど変わりがない。よく見ると全体にテカテカとしていて、透明な樹脂が薄くコーティングされていることが分かる。コネクタ部などには白い樹脂が塗りこまれている。
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