Googleがホワイトボードを再発明したらどうなる? 先行するSurface Hubを意識した価格設定も話題の「Jamboard」について、実機を見ながらその狙いを聞いた。
2017年6月14、15日の2日間に渡り、ザ・プリンスパークタワー東京(東京・港区)を会場に、Google主催のイベント「Google Cloud Next'17 in Tokyo」が開催された。
「Google Cloud Platform」(パブリッククラウドサービス)や「G Suite」(SaaS型オフィススィート)をはじめとしたGoogleの各種クラウド技術、製品・サービス、アプリケーションに関する80以上のセッションが開催された他、会場内に設けられた体験エリアでは、同社およびパートナー企業の製品・サービスを体感できるコーナーが設けられた。編集部では、G Suiteを軸に会議や情報共有の在り方を変えるかもしれないと期待されている「Jamboard」について取材した。
その中でも、2017年5月に米国で発表されたばかりの新製品「Jamboard」の体験コーナーには多くの来場客がひっきりなしに立ち寄り、もの珍しそうにデモの様子を眺めていた。Jamboardは、いわゆる「電子ホワイトボード」と呼ばれるジャンルに属する製品。55インチ(または84インチ)の大型タッチパネルディスプレイ装置で、指やペンのタッチ操作で各種機能を呼び出したり、文字や絵を描画したりできる。
Jamboardは、単に旧来のホワイトボードをタッチパネルデバイスに置き換えただけではない。この製品のユニークな点は、インターネット接続を通じてGoogleのクラウドサービスと接続し、G Suiteの機能を呼び出したり、他のユーザーのデバイスや他のJamboradと接続して画面やデータを共有できたりする点にある。つまりホワイトボードであると同時に、タブレットのようにGoogleのクラウドサービスのエンドポイントデバイスとしての役割も果たすということだ。また、遠隔地同士をつないでホワイトボードやドキュメント、画像を共有できる「遠隔会議システム」としての一面も併せ持つ。
同種の製品としては、マイクロソフトが「Surface Hub」を既にリリースしており、米国では好評を博している。Jamboardはこれの対抗製品として位置付けられるが、定価でもSurface Hubのおよそ半額という価格設定が、早くも大きな話題を呼んでいる。
筆者も実際にJamboardの操作を試してみたが、直感的に操作できるUIの仕様に加え、タッチパネル操作においても不自然な点は感じられず、スマートフォンの操作に慣れたユーザーならすぐ使いこなせるのではないかという感触を得た。
Jamboardの画面は、デフォルトの状態ではまさにホワイトボードと同様に真っ白な状態。ここからメニューとツールバーを使って各種機能を呼び出し、タッチパネル操作で入力を行う。入力した手書き文字を自動的にフォントデータに変換できる他、フリーハンドで書いた図形を自動的に図形データに変換することも可能だ。
また指や専用のイレーサーで画面上をこすると、入力した文字や絵柄を消すことができる。このあたりは本物のホワイトボードと同様の操作感が再現されているが、消した部分が細かな砂状になってハラハラと落ちていくような視覚効果も加えられており、いかにもGoogleらしい遊び心がちりばめられている。
文字や図形以外にも、さまざまなオブジェクトを画面上に配置できる。例えば、インターネット検索ウィンドウを開き、キーワードを入力してヒットしたサイトをWebブラウザ上で開いて、その「画面の一部を切り出してそのままホワイトボード上に貼り付ける」ことができる。こうした各種のオブジェクトは、スマートフォンと同じくスワイプ操作で移動したりピンチ操作で拡大・縮小したりできる。また検索キーワードなどの入力は、ソフトウェアキーボードを呼び出して利用する。
こうしてさまざまな文字や絵柄、オブジェクトを配置したJamboardの画面は、ネットワークを通じて他のデバイスと共有できる。例えばPCやタブレット端末、スマートフォンに専用アプリを導入すればよい。
また、タブレットやスマートフォンのアプリを通じてタッチ操作で共有画面に入力した内容は、Jamborad側にリアルタイムで反映される。同製品は、カメラデバイスと、G Suiteのビデオ会議アプリケーション「Googleハングアウト」の機能を備えているため、遠隔地とホワイトボードを共有しながらビデオ会議を行うこともできる。
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