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人材獲得に寄与にも貢献する「健康経営」とは何かIT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2017年10月30日 10時00分 公開
[小池晃臣タマク]

健康と生産性の関係性は米国で検証済み

 このように盛り上がりを見せる健康経営だが、いざ自社で実践してみることを考える前に、幾つかの疑問が生じてくるのではないか。「社員の健康状態が企業業績に大きな影響を及ぼす」といわれれば、確かに異論は生じないだろう。しかしながら、社員の健康と企業業績の間の相関性というのは、具体的に実証されているのだろうか? 実は、既に米国で実証されている。

図3 米国の先行研究例(健康経営と株価) 図3 米国の先行研究例(健康経営と株価)

 「経営者にしてみても、単に医療費を適正化しましょうというだけでは、さほどモチベーションは上がらないことでしょう。しかしそれが自社の生産性ひいては業績に大きくかかわることとなれば、最優先事項の1つと見なすはずです」(尾形氏)

 さらに米国で行われた、大手金融サービス会社で働く1万6651人を対象にした調査研究によると、健康に関連する企業の総コストのうち、労働生産性の損失が実に4分の3を占めているという事実が明らかになっている(図4)。一方、健康関連のコストの代表ともいえる医療費や薬剤費のコストは4分の1以下の24%を占めるにすぎなかった。米国は世界で最も医療費が高いともいわれていることから、日本に置き換えれば医療費などの割合はさらに低くなることだろう。

図4 従業員の健康関連総コストの構造 図4 従業員の健康関連総コストの構造(参考)直接・間接費用の割合は、米国大手金融サービス会社従業員16,651人のデータ結果を参考に図式化 Edington DW, Burton WN. Health and productivity. In: McCunney, RJ: A Practical Approach to Occupational and Environmental Medicine. Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins. 3rd ed. 2003:140-152;

 尾形氏は「組織全体として従業員の健康状態が影響するコストを考えるのであれば、もはや医療費のみでは不十分だというのが、既に欧米では通説となっています。医療費に加えて、従業員の健康状態に起因する労働生産性の損失費用や短期・長期障害費用を含めた総額でコストを捉えるようになっているのです」という。

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