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PCの持ち出し禁止で私用PCの残業? 働き方改革の実態イベントレポートアーカイブ(1/3 ページ)

IDC Japanは1月17日、「国内働き方改革ICT市場」に関する調査結果を発表。併せて、企業における働き方改革の取り組みの実態を説明した。

» 2018年01月24日 10時00分 公開
[溝田萌里キーマンズネット]

 長時間労働の是正や生産性の向上を目指し、実施が急がれている働き方改革。それを支えるものとして不可欠なのが、ICTツールの活用だ。IDC Japanは1月17日、「国内働き方改革ICT市場」に関する調査結果を発表。併せて、企業における働き方改革の取り組みの実態を説明した。

 なお、前者は各市場のデータから、長時間労働の短縮、労働生産性の向上、柔軟な働き方などを実現するためのICT市場規模を積み上げ「国内働き方改革ICT市場」として定義した。後者は、ユーザー企業へのアンケートなどがソースとなる。こうした定量的、定性的なデータを基に、IDC Japan PC,携帯機器&クライアントソシューション グループリーダーの市川和子氏は以下のように考察する。本稿でより内容を詳しく見ていく。

  • 「国内働き方改革ICT市場」の成長率は一般的なICT市場より高成長を見込む
  • 企業における取り組みは、残業時間の短縮や就労規則などの取り組みに重きが置かれており、ICTを利用した抜本的な生産性向上や、柔軟な働き方の実現への道のりは遠い
  • 働き方改革を成功させ成果を持続させるためには、ICTの導入や活用にとどまらない視点での改革も必要となる

国内働き方改革ICT市場の成長スピードは早い

 調査の結果、同社は「国内働き方改革ICT市場規模」が2016年時点における1兆8210億円から、21年には2兆6622億円に達すると予測。年間平均成長率(CAGR)7.9%を見込むとした。

 「ICTの市場全体のCAGRは2.1%。比較すれば働き方改革に関連したICT市場が成長するペースが速いことが分かる」と市川氏は説明する。

 また、働き方改革ICT市場を4つの分野に分けて同時期のCAGRを調査した結果では、「ITサービス/ビジネスサービス」(19.8%)、「ソフトウェア」(11.9%)、「ハードウェア」(3.7%)、「通信サービス」(2.6%)の順に成長を示すことが分かった。

国内働き方ICT市場予測 図1 国内働き方ICT市場予測

 とりわけ、企業へのシステム構築や運用の提案、ビジネスコンサルティング、BPOなどを含む「ITサービス/ビジネスサービス」市場や、RPA、クライアント仮想化製品、CRMアプリケーションといったクラウドサービスなどを含む「ソフトウェア」市場は高成長することが見込まれ、21年には前者の支出額が5333億円、後者が7030億円に達すると予測されている。

 一方、社外持ち出し用のPCやシンクライアント端末、モバイル端末などを含む「ハードウェア」市場は19年まで成長を続けるが、20年から21年は市場がわずかに縮小。21年時点で1兆358億円の規模を予測する。企業向けデータ通信などに代表される「通信サービス」は、ほぼ横ばいの成長で21年に3900億円になるという。

 総括して市川氏は「働き方改革という文脈では、大きなICT活用プロジェクトは見られないものの、改革が順調に拡大するにつれて市場も同様に成長する」と指摘した。

2016年〜21年の年間平均成長率の比較 図2 2016年〜21年の年間平均成長率の比較
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