HCIが目指したのは、FacebookやAmazon、Googleなどのクラウドサービスプロバイダーが運用するクラウド基盤に共通してみられるWebスケールアーキテクチャを、企業内のインフラ、つまりはオンプレミス環境でも適用できるようにすることだ。
もともと大手クラウドサービスプロバイダーは、汎用(はんよう)的なX86アーキテクチャのサーバ上で動いているCPUやメモリ、ストレージを大量に使って巨大なシステムを構築しており、1つのアーキテクチャで大量のワークロードを動かすことができるように独自の設計が行われている。
この考え方を、一般的な企業でも取り入れられるようにしたのがHCIだ。もちろん、Webスケールを前提にしたソリューションばかりではないが、オンプレミス環境でクラウド的な運用を目指した製品群となっている。
特徴的なのが、ストレージの機能をソフトウェアとして提供するSDS(Software Defined Storage)の存在だろう。サーバについてはハイパーバイザーなどの仮想化技術を用いているが、サーバのローカルディスクをプール化して効率よく活用するためのSDSがHCIにおいては重要なポイントになる。
つまり、汎用的なハードウェアで拡張性の高い、そして耐障害性も持った仕組みを実現するために重要なのは、まさにソフトウェアの機能だ。一見してアプライアンスなどハードウェアとして提供されているHCIだが、ハードウェアは汎用的なものが使われているだけで、そのメリットはソフトウェアによって実現されていることになる。
HCIは、汎用的なハードウェアを用いて構成されており、1〜2Uサイズに複数ノードが搭載されたモデルが各ベンダーから提供される。今回はEMCが提供する「VxRail」を例にその筐体についてみてみよう。紹介するのは2Uの筐体に4ノードが搭載できる「VxRail Gシリーズ」で、ノードあたり最大10TB(HDDとフラッシュストレージのハイブリッド構成時)までのストレージが搭載可能となっているものだ。
VxRailはDell EMCとVMwareが共同で開発したアプライアンス製品で、SDSにvSANを利用している。Dell EMCでは、VxRailの他に、Nutanix AOSを利用し、マルチハイパーバイザに対応したアプライアンス製品としてDell EMC XCシリーズもHCIポートフォリオとして提供している。
なお、HICのベンダーであるNutanixでは、自社のアプライアンスだけでなく、他社のハードウェアに対してソフトウェアを提供する形で実装することが可能となっており、競合ベンダーの製品にも実質的に搭載可能な状況が作り出せるようになっている。
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