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SANからの解放、ハイパーコンバージドインフラストラクチャの基礎知識IT導入完全ガイド(5/6 ページ)

» 2018年02月05日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]

 これまでにない拡張性と運用保守の容易性が大きなメリットになっているHCIだが、どんなインフラにも適しているのかといえば、答えはNOだ。実際にはHCIには不向きなシステムも正直あるのが現実だ。

小さすぎるワークロード

 メリットの1つに挙げられるスモールスタートだが、このスモールの単位は人によってまちまち。小さいワークロードを動かすだけであれば、どうしても割高になる。通常HCIは最小3ノード、最近では機能限定で2ノードでも導入することができる仕組みもあるが、10程度のVMを動かすような仕組みにHCIを利用すると割高にならざるを得ないので注意したい。

最小限のレイテンシを求めるアプリ

 マイクロセカンド単位のレイテンシを求められるようなアプリケーションレスポンスを要求するような仕組みには合わない。汎用的なX86アーキテクチャで動作するマシンを使うため、要求するレイテンシを実現することもあれば、そこまでのレスポンスが出ないことも当然出てくる。常にそのレイテンシを維持することが絶対だというアプリケーションには向かない。

アップデートしないポリシー

 稼働した状態を維持したい、またはそのまま塩漬けにして運用することをポリシーとして設定している企業の場合も、HCIの良さが出てこなくなる。柔軟に拡張するためには、常に最新のバージョンにて運用することが求められており、アップデートかけない前提で仕組みを構築したいシステムには向かない。

 実は、当初はVDIの基盤としてHCIが導入されたが、企業で初めてVDIを導入する場合はタイミング的にポリシーを新たに設定することが可能なため、アップデートを前提としたHCIの導入が進んだ側面もある。既存環境をHCIに乗せるには、運用ポリシーの見直しが必要になる場面があることを十分認識しておきたい。

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