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» 2018年02月05日 10時00分 公開

SANからの解放、ハイパーコンバージドインフラストラクチャの基礎知識IT導入完全ガイド(4/6 ページ)

[酒井洋和,てんとまる社]

HCI導入のメリット

 ここでHCIを利用することのメリットについても整理しておきたい。構成がシンプルになることで、さまざまなメリットが享受できるようになる。もちろん、これまで外部に運用を委託してきた企業であれば直接的なメリットを感じない部分もあるが、運用そのものがシンプルになることでパートナーの負担は確実に減ることになり、委託費用の見直しなどにも大きく影響するはずだ。

複雑な運用プロセスからの解放

 最も大きな効果はIT運用がシンプルになることだろう。従来の仕組みでは、サーバやストレージ、ネットワーク、仮想化、そしてアプリケーションがそれぞれ個別に管理され、コンソールも別々に使い分けながら管理されてきた。

 これが全て統合されたソフトウェアによって管理できるようになり、単一の仮想化リソースプールによって柔軟な運用が可能になる。管理の自動化によって運用負荷を軽減し、少ない人員でも効率的に管理できるようになることで、ビジネスに直結する領域に人的リソースを振り分けることができるようになることは、大きなメリットだといえる。

従来型SANとの違い 図2 従来型SANとの違い(出典:EMCジャパン)

設置スペースの効率化

 これまではサーバおよびストレージ、それらをつなぐSANスイッチなどが構成上必要になり、UPSなども含めてラック内を占有していた。HCIでは、2Uの筐体内に4ノード程度のサーバが集約されるため、スペース効率は圧倒的に高まる。

 また、設置スペースが効率化するだけでなく、機器を減らすことで空調や電力費用も削減できるようになる。

 ただし、日本の場合はラックを設置するデータセンターにおける1ラック当たりの給電容量が小さいところも多く、HCIによって集約できたとしてもラック内いっぱいにHCIを搭載することが難しい場合もあり、ラック当たりの電源容量が大きい米国などに比べて集約メリットが享受できないケースもある。

拡張しやすく、スモールスタートに向いている

 一般的に容量不足に陥って拡張することを想定し、当初から柔軟に拡張できるよう意識して設計することになる。ただし、導入後数年を経ていると、さまざまな課題がでてくることがある。例えば今使っている筐体に新しいブレードが利用できなくなっていたり、もし利用できるとしても互換性の検証が必要になってしまったりすることもあるだろう。

 また、ストレージ容量をアップグレードする際の影響を調査したり、そもそもSANスイッチのポート不足で根本的な入れ替えが必要になったりなど、さまざまな課題に直面することになる。その点HCIであれば、単に物理的にノードを購入し、管理画面から追加を選択するだけの手順で済む。そのため、最初から将来を見越して大きな投資をすることなく、最小構成から始めて足りなくなれば適宜追加するという運用が可能になる。HCI導入の大きなメリットの1つといえるだろう。

投資サイクルが平準化できる

 通常の場合、ハードウェアの寿命や保守期間から、インフラを構築してから5年程度の期間で新たな環境への刷新が必要になるケースが多い。そうなると、5年ごとに大きな投資が必要になり、アプリケーションが安定して動いていたとしても新たな環境に乗せ換えることが必要になり、結果としてアプリケーション部分の見直しも入るなど、数年ごとに大掛かりな投資のための準備をする必要がある。

 HCIであれば、最初にスモールスタートで初めて定期的にスケールアウトして拡張していっても、あるタイミングで保守入れを迎える環境だけを廃棄し、新たな環境を追加してあげるだけでインフラ部分の刷新が容易になる。導入初期にはメリットとして感じづらいところだが、数年後を見据えると大きなメリットになってくるはずだ。

投資サイクルの平準化 図3 投資サイクルの平準化

アップデート時の検証がほぼ不要

 3Tierとの違いの部分でも紹介したが、HCIの場合はファームウェアのアップデートが容易になっており、しかもハイパーバイザーなどのアップグレードもワンクリックで行えるようなシンプルな構成になっている。特にハードウェアに依存した互換性などの検証が不要のため、常に最新の環境で運用することが可能になる。そのため、テクノロジーの陳腐化を防ぐことが可能な仕組みともいえる。逆に言えば、常に拡張を前提にした仕組みだけに、常に最新環境へのアップデートが求められるのがHCIの特徴ともいえる。

シンプルな構成ゆえに教育コストが削減できる

 HCIを導入した企業からの声で多く寄せられているものの1つに、教育コストの負担が減ったという声がある。従来の3Tierでは、SANストレージおよびSANスイッチ特有の知識や運用経験などが求められるため、少人数で運用している企業では常に新たな知識を確保するための教育コストや人材確保に多くの時間と手間がかかっていた。

 HCIであれば、汎用的なハードウェアだけで運用することができ、自動化や省力化に寄与する管理ツールがHCI側に備わっていることで、新たな知識を増やすことなく安定した運用が可能になる。ここもHCI導入の大きなメリットといえるだろう。

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