現状のHCIでは、主にサーバおよびストレージをソフトウェアにて制御することが可能になっているが、当然外部にあるスイッチを含めた周辺のネットワーク機器との連携は欠かせないものだ。ベンダーによってはスイッチも含めた形で提供しているところもあるが、もともと汎用的なハードウェアによる実装を目指すHCIにとって、サーバやストレージだけでなく、ネットワーク領域についてもアプリケーションセントリックな形で制御できることが理想だろう。
実際には、HCI内部の仮想スイッチ機能はもちろん、外部のスイッチやADC、ファイアウォールといったネットワーク機器も同様に制御できるようなアプローチが始まっている。つまり、外部スイッチへのポートVLANの設定やルーティング設定、そして、ファイアウォール設定も含めて、全てHCIの管理画面から行えるような仕組みだ。
具体的には、WebhookのAPIを利用することでソフトウェアによる制御を実現するといったものだ。仮想マシンを新たに立ち上げると、その起動を検知してWebhookがAPIを経由して通知を出し、その通知をトリガーにして、例えばスイッチであればVLANを自動設定、ファイアウォールであればポリシーを更新、ADCであれば負荷分散のためのメンバーシップを構成するといったことが自動的に行えるようになる。
HCIが持つ管理ツールの機能として、仮想マシンを停止せずに別のノードへデータを移行するライブマイグレーションやvMotionの機能が実装されているが、あくまで同一エリアで稼働しているノード間でのデータ移行が中心となるため、データ保護という観点で考えれば、稼働しているエリアとは異なる領域へデータを移行させ、版管理も含めてバックアップ環境を構築する必要があるだろう。
そこで、HCI内に重複排除のバックアップツールを展開し、外部のストレージにデータバックアップを移行するソリューションを持つベンダーもある。バックアップデータが直接外部のストレージに格納できるため、災害復旧用のレプリケーションやシステムのメンテナンス時にも有効になる。
なお、HCIのソリューションとしてデータをパブリッククラウドへ格納できるソリューションを展開しているところもあり、自社内の環境とパブリックラウドを柔軟に使い分けることも可能だ。社内で外部環境を用意せずとも、クラウドを利用してデータ保護や事業継続に生かせるものもある。
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