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全員、出社義務なし、テレワークで各社員に合った働き方を実現するシックス・アパート(3/4 ページ)

» 2018年03月14日 10時00分 公開
[白谷輝英]

社内コミュニケーションはSlack、情報共有しやすくなるという“思わぬ効果”も

Slack Slackと連携させたbotがオフィス状況を知らせる

 テレワーク導入を検討する際に、連絡や相談といったコミュニケーションがうまくいくか不安を感じる人は多いだろう。だがシックス・アパートの場合、社内コミュニケーションは、むしろ以前より活発になった。その基盤となっているのが、ビジネス向けチャットサービスの「Slack」だ。

 「当社は以前、社外はもちろん社内のやりとりでも、メールを使うケースが多かったのです。しかしメールでのやりとりは、ご存じの通り非効率的。返信を繰り返すたびに件名と内容が懸け離れて分かりづらくなり、多くの関係者にCCメールを送った結果、メールボックスに新着メールがあふれてしまい大事なメールが埋もれてしまうケースもよく起こります。一方、Slackのようなチャットサービスなら、メッセージを見落とすリスクは低く、素早い返信も期待できます。

 また、Slack導入によって、『情報共有しやすくなった』という思わぬ効果も得られました。オフィスで隣にいる同僚とやりとりするときは、暗黙の了解を前提とした『曖昧なやりとり』が起こりがちです。しかしSlackなら、連絡事項を明確な文章にして伝えなければなりません。また、過去のやりとりも簡単に振り返られるため、コミュニケーション上のトラブルが起こりづらいのです」(古賀氏)

 ただ、シックス・アパートのようなサービス開発企業の場合、社員同士の何気ない雑談から新サービスが生まれる可能性もあるだろう。そこで同社は、Slack内で雑談を発生しやすくするための仕掛けを施している。

オフィスに設置したRaspberry Pi オフィスに設置したRaspberry Pi

 「社内のエンジニアが、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)を活用したセンサーシステムを設置。そして、Slack内にbotを連動させ、社内の温度や湿度、オフィスに出社している人数などを自動的に発信させています。例えば、誰かがオフィスでSlackにログインすると『○○さん、おはようございます』とコメントしますし、オフィスに出社中の人数比率が高まると『二酸化炭素中毒になりそうだ』なんてつぶやくのです。こうした試みは、社員が思い付いて実装までしてしまうことがほとんどですね。いつの間にか面白い機能が追加されていることも多々あります」(シックス・アパート 広報マネジャー/シックス・アパートブログ編集長 壽 かおり氏)

 他にも、テレワークによる業務を支援するためにさまざまなクラウドサービスを活用している。例えば、全社員に向けて業務報告を行う場合などは、Web会議サービスの「Zoom」が欠かせない。また、経費精算には「MFクラウド経費」、人材管理などには人事・労務管理サービスの「SmartHR」、開発チームの進捗管理などにはプロジェクト管理サービスの「Redmine」が使われている。同社は、社員が働きやすい環境を整えるための努力を怠らず、制度を常に進化させようとしているようだ。

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