InCircleでは、従業員の不正発見から報告書作成までをサポートするチャットbot「AIリーガルbot」も提供する。
不正発見において、AIリーガルbotは必要な情報をWebや社内システムから収集し、チャット画面に投稿する役割を担う。不正を働いている可能性がある従業員がいた場合、チャットbotにその従業員の行動データの収集をリクエストすれば、各種システムからの情報が集計されて図7のように表示される。さらに「不正アクセス」に関するデータを絞り込ませれば、該当するデータの一覧表示が可能だ。
あるいは、就業時間中に私的なオークションの利用があったと想定される場合、チャットbotが従業員の所有物の写真とオークションサイトの出品画像を並べて投稿。人がその写真を比較することで、不正行動の証拠を得られる(図8)。ちなみに、端末の操作履歴などが消去されていても、同社のフォレンジック技術により復元して抽出できるという。
これによって、人が専用のツールにアクセスし大量のログデータを分析、さらに他のシステムのデータと突き合わせるといった煩雑な作業が不要なこと、そうした操作に求められる専門的知識がない人でもチャットを起動して実行できることがメリットだ。AOSモバイルで博士(工学)を務める米川孝弘氏は、「チャットbotを触媒とすることで、便利であるが扱いが難しくて活用されないシステムをつなげ、高度な業務を簡単に実行できる」と話した。
また、AIリーガルbotに報告書を作成させることも可能。自動的に抽出した情報をテンプレート化された報告書に入力させることで実現できるという。チャットbotをインタフェースに据え、裏側であらゆるデータや技術を連携させれば、システムをまたぐ複雑な業務プロセスを効率化できると分かるだろう。
InCircleのチャットbotはカルテル調査などのために企業への突然の立入検査が入るシーンなど、専門ノウハウが必要で、迅速な対応が必要なシチュエーションでのサポートも行う。
カルテル監査の場合、対応には法的な専門知識を必要とすることが多い。非専門家であるユーザーに対し、チャットbotが監査担当者の要求にどう応えるべきかのアドバイスを1問1答で行う。例えば「監査担当者を社内に入れてよいか」と尋ねると、「まずは名刺を交換すべきだ」と忠告するといった具合だ。ユーザーが専門的な知識を有していなくても、監査に対して適切に対応するためのポイントが確認でき、法的に問題のない対応が図れる。チャットbotとのやりとりがチャット画面上に残るため、後から対応のログも検証可能だ。
この他にも、AOSモバイルではシステムの運用管理に関連する業務を、チャットbotで効率化する「Chat OPS」を使った事例も増えている。IT部門の運用担当者には利用価値が高い。
以上のように、In Bの領域においても、チャットbotは、コミュニケーションや情報活用の目的を超え、ビジネスの自動化、効率化のための強力なツールとして活用シーンを広げている。自社における活用を検討したい。
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