メディア

ライセンス監査を受けた企業の60%以上で追加費用が発生すご腕アナリスト市場予測(4/5 ページ)

» 2018年09月26日 10時00分 公開
[海老名 剛ガートナー ジャパン]

解釈の違いが起こりやすい「間接アクセス」「デジタルアクセス」

 特に使用における解釈の違いの中でも、よく話題になるのが「間接アクセス」や「デジタルアクセス」と呼ばれる部分だ。間接アクセスについては、例えば基幹システム内に格納された情報を使って他ベンダーのBIツールを使う場合、BIツールのライセンスは保有しているものの、基幹システム側のライセンスはあまり意識されない。

 ただし、間接的ではあるものの基幹システム内のデータを活用するため、ライセンスが求められることもあり得る。よくあるケースとして、基幹システムが提供する正規の画面を使わずに、アドオン画面を経由して操作するといった手法を採用する日本企業もあるが、たとえアドオン画面経由でも間接アクセスとして費用が求められることも。間接的なアクセスをどこまでライセンスに含むのかといった部分は、どうしてもグレーゾーンになりがちだ。

 デジタルアクセスについては、RPAなどロボット経由やIoTなどセンサーデバイス経由のアクセスに対する使用ライセンスも解釈の違いが生まれやすいところだろう。最近ではRPA専用のライセンスを提示するところもあれば、IoTなどモバイルアクセス用のライセンスを個別に用意するところもあるなど、ソフトウェアベンダー側でも使用の形態に合わせたさまざまなライセンスを細かく設定するケースも出てきている。

解釈の違いが生まれにくいライセンスへの移行も

 このようにライセンスに関するさまざまな解釈の違いが発生するなかで、ソフトウェアベンダーの中にはトランザクションベースのライセンスを推奨することで、これらの課題を解消するアプローチを採用するところもある。これは接続数やユーザー数ではなく、契約したモジュールやアプリケーションで処理したデータ量に応じて課金するといったモデルだ。何をもってユーザーとするのかといった議論は不要になり、ライセンスにおける解釈の違いも生まれにくい。

 ただし、トランザクションベースのライセンスを推奨する背景には、解釈の違いを解消するだけでなく、売上自体もポジティブになるというもくろみもソフトウェアベンダーには当然ある。アクセスの形態が多様化しているなかで処理するデータ量が大きくなる傾向にあるため、解釈の違いをユーザー企業と議論するよりも、トランザクションベースにした方が管理の手間も解消でき、かつ売り上げの増加も期待できるわけだ。ユーザー企業側は予算化しにくくコスト増になるケースはあるものの、監査の手間を減らしてコンプライアンス上のリスクを減らすことにつながるというメリットはある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。