Windows 10を導入する企業が増加したことから、業務で利用する際の課題なども見えてきた。そこでこれから導入を検討する読者の方々の参考にしていただきたく、Windows 10を利用中の回答者に対して、「業務で利用する上での問題点」を聞いた。
その結果「アップデートの不具合で業務が止まるリスクがある」が最も多く34.0%、続いて「想定した機能が使えなくなる不安がある」22.4%、「アップデートごとの品質テストに工数が掛かる」15.6%となった(図3)。
これについては各所で報じられた通り、実際に「Windows 10 April 2018 Update」や「Windows 10 October 2018 Update」などで不具合が生じ、業務が停止してしまったり機能が使えない状態が続いてしまったりといった混乱があった。
数年に一度のアップデートであれば配布前に品質チェックを行うことも難しくないが、半年ごとのリリースサイクルでも同じような体勢で運用するのは現実的ではない。このような事態に対応するには、リスクを前提とした運用体制を構築するしかない。
アップデートごとにかかるアプリケーションの検証や配布にかかる工数は、SCCMやアプリケーション配布管理ツール、その他、クライアントPC管理ツール類を活用して人手をかけず効率的に進める体制を検討しておくことで軽減できそうだ。
それでは業務アプリケーションでWindows 10への対応を「予定していない」と回答した企業は、今後の業務アプリケーションをどのように考えているのだろうか。
最も多かったのは「もともとWeb標準に準拠したアプリケーション(SaaSを含む)なので対応する必要がない」20.0%という回答だ。
続いて2位「アプリケーション提供ベンダーがWindows 10への対応を表明していないため」17.7%、3位「業務アプリケーション改修の予算を確保できないため」14.3%、「暫定的なセキュリティ対策で業務アプリケーションの延命を図る予定があるため」と「もともと業務アプリケーションがWindowsで動作しないため」が11.4%で4位だった(図4)。
一番多かったのは業務アプリケーションをWeb標準に準拠させることでOSごとの動作検証などのコストがかからないように改修した、という意見だ。
一方、2位以降に挙げられた意見や、その他の声を見てみると「現状のOSを継続使用する」「必要が出てきたら対応すると思われるが、今のところ特に支障がないため」など一時しのぎの場当たり的な対応策が挙げられている印象だ。
特に今回は2020年1月のタイミングで「Windows 7」に加えて「Windows Server 2008/2008 R2」の延長サポートも終了する。2020年10月には「Office 2010」も延長サポートが終了することになっており、ただでさえ負担のかかるライセンス終了への対応に拍車が掛かる可能性が高い。対応工数を分散するための計画的な一時しのぎ施策であれば問題ないが、検討漏れや準備不足が原因で場当たり的な対応になってしまっては本末転倒だ。いずれにせよ早いうちから移行計画を検討することが肝心と言えそうだ。
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