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厚さ2ミリの「ガラス」ストレージ、何GB保存できるの? マイクロソフトの新発明:538th Lap

PCやサーバのストレージにSSD(ソリッドステートドライブ)が採用されるようになって数年が経過した。今後もデータが増えていくことは間違いないが、ストレージの素材にガラスを使う研究が進んでいる。

» 2019年11月15日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 ストレージといえば、かつてパンチカードだったものがフロッピーディスクになり、HDDになり、最近ではSSDが主流になりつつある。そこにマイクロソフトが「ガラス片」をストレージにする技術を開発したというから驚きだ。ガラスにどうやってデータを保存するのか、何よりどのくらいのデータが保存できるのだろうか?

 マイクロソフトは2019年11月4日、「Project Silica」と名付けた研究の成果の一部を発表した。同社の中で先進的研究を続けているMicrosoft Researchのプロジェクトの一つで、シリカ、つまりガラスの中にデータを保存しようという試みだ。

 縦横が75ミリ、厚さ2ミリのガラス片に約75.6GBのデータが保存できるという。今回の発表によるとワーナー・ブラザーズの協力を得て、その中に映画『スーパーマン』の動画を丸ごと閉じ込めたそうだ。

 データは特殊なレーザーを使って3次元的に書き込まれる。読み出しの際には、ガラス内で屈折した光のイメージやパターンを機械学習アルゴリズムで解析し、データとして再構築する。

 最大の特長は、素材となった石英ガラスは長期にわたるデータ保存が可能だということ。「お湯に入れたり、オーブンで焼いたり、電子レンジで加熱したり、浸水させたり、磨いたり、消磁したりしても耐久性を保つことができる」という。

 それにしても「なぜワーナー・ブラザーズが協力を?」と思う人もいるだろう。100年近い歴史を持つ同社は、たくさんの映像データをアーカイブしている。オリジナルのネガフィルムは、適切な状態であれば何世紀も保存できるというが、万が一に備えてデジタルバックアップも必要だ。

 問題なのは、ビデオテープで保存されているテレビ作品やデジタルネイティブな最近の作品のアーカイブだ。同社はこれらの映像をアナログに変換した上で、シアン、マゼンタ、イエローの3色に分解して3本の白黒フィルムとして保存している。

 とにかく、物理的に作品を保存したいというのが同社の考えだ。しかし、手間はもちろんコストもかかる。そこで「永続的で物理的なアーカイブ」としてガラスストレージに注目しているというわけだ。

 読み書きを高速にしたり、汎用的なドライブを作ったりなど、Project Silicaには超えねばならないハードルが幾つもある。だが『スーパーマン』はコースターのようなガラス片にしっかりと保存できた。ワーナー・ブラザーズは、自社でデータを読み書きできるような施設を作ることも念頭に置いているという。


上司X

上司X: ガラスにデータを保存するという「Project Silica」の話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: ワーナー・ブラザーズが作品をガラスに保存ですか。


上司X

上司X: それにしてもフィルムというものは適切に管理したら意外なほど保存ができるのだな。


ブラックピット

ブラックピット: 僕もそれが意外でした。数世紀は大丈夫というのですから数百年単位ってことですよね?


上司X

上司X: かなり厳重な管理が必要だとは思うが……。それよりもデジタル作品には物理的な「オリジナル」が存在しないということに気付かされたよ。


ブラックピット

ブラックピット: 撮影して編集して、完成した映像データが「オリジナル」なのでは?


上司X

上司X: まるっとコピーできるよな。それが複数本あったらどれが「オリジナル」だろう。だから「物理的」なオリジナルが必要なんだ。


ブラックピット

ブラックピット: なるほど、合点がいきました。『スーパーマン』なら、物理的に存在するフィルムに「オリジナル」という印が付いているものが「本当のオリジナル」ってことですね。内容も質も完全に同じ映像だったとしても、コピーしたフィルムはコピーだという話ですな。


上司X

上司X: そういうことだ。映像やデータを物理的に保存することで真のオリジナルを後世に残したいという映画会社ならではのコダワリだな。大事なデータ入りのガラスストレージをうっかり割っちゃうような社員がいないことを祈るばかりだよ。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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