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3分の検査で「潜在意識」を可視化、生産性低下リスクを事前に見つけるSaaSとは

これまでの「出勤はしているが、不調で生産性が低下している状態」と「欠勤している状態」による評価では、生産性の低下は事後にしか把握できなかった。3分程度の検査で生産性低下のリスクを事前に察知する取り組みが始まっている。

» 2021年03月09日 10時01分 公開
[キーマンズネット]

 名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター(以下、メディカルITセンター)は「心理指標を利用した人事評価に関する研究」に取り組んでいる。従来の「出勤しているが不調で生産性が低下している状態」(プレゼンティーイズム)と「病気や体調不良によって欠勤している状態」(アブセンティーイズム)の2つの指標による評価では、生産性の低下は事後にしか把握できない。それに対し、同研究は「潜在意識の変化」からリスクを事前に把握し、生産性の低下を未然に防ぐことを目的とする。

好みの画像を選ぶだけ、3分間検査で見える「潜在意識」とは

 ネットワンシステムズは2021年3月8日、メディカルITセンターの研究用ツールとして、同社のSaaS型タレントマネジメントシステム「カラタレ」が採用されたと発表した。同センターは、カラタレを活用した実証研究を2020年5月から実施している。

 同研究では各被験者からプレゼンティーイズムとアブセンティーイズム、潜在意識、人事データの4種類の情報を定期的に取得し、機械学習によって各情報の相関関係を分析する。これによって、生産性の低下が人事評価の低下や離職につながることを解明し、プレゼンティーイズムやアブセンティーイズムの悪化原因となる潜在意識の変動要素を特定するものだ。

 カラタレは、潜在意識データの取得に用いる。被験者が60枚の画像から好みの10枚を直感的に選ぶと、性格特性や知能特性、職業適性、職場で発揮する強み、レジリエンス(曖昧さと不確実な事柄に対処する力)を分析できる。文章の読解は不要で直感的に画像を選ぶだけなので、年齢や使用言語によらず誰でも診断でき、1人当たり3分程度で完了する。

 メディカルITセンターの特任助教を務める大山 慎太郎氏は、「従来のアセスメントツールでは、職員の生産性低下は事後にしか把握できなかった。今回検証する潜在的特性や特性ごとの相性といった因子は、生産性低下のリスクになる説明変数となる可能性が高い。その相関性を解明することで事前にリスクを割り出し、生産性が悪化する前にさまざまな支援が検討できるようになる。カラタレによって、われわれが試みたいアプローチを具現化できた。このアプローチは新しいものであり、職員と管理者の双方に有益だ」と述べている。

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