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新卒採用と中途採用で内定辞退やアンマッチを防ぐには?

新卒採用と中途採用は、採用期間やスケジュール、応募者との接点の作り方、採用後のフォローなどが異なるために、採用管理で留意すべき点も違う。3分で分かるよう解説する。

» 2021年04月30日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 新卒採用と中途採用は、採用期間や応募者との接点の作り方、採用後のフォローなどが異なり、スケジュール調整や応募者情報の管理、応募状況の確認といった採用管理業務は別の動きが求められる。本稿では、採用管理を実施するにあたって、新卒採用と中途採用でそれぞれどのような点に留意すべきかを簡単にまとめた。

新卒採用の開始時期は年度によってバラバラ

 大前提として、新卒の一斉採用は、年度によって時期が変わる。新卒採用において、企業エントリーの開始日や選考活動の日程は目安が定められ、企業が足並みそろえて採用活動をスタートさせる。例えば、2022年4月入社に向けた新卒採用であれば、広報活動は2021年3月に、面接などの選考は2021年6月に開始する、というスケジュールが考えられる。

 以前は一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)がこれら日程を含めた就活ルールを取り決め、年度によって選考スケジュールを変更していたが、2021年入社を対象とした新卒採用以降、就活ルールを廃止すると発表した。今後は政府が主導して新たなルールを決めることになるという。現時点で政府は、混乱を防ぐなどの目的で22年卒の学生に対しても現行ルールを適用する方針を定めているが、今後はどうなるか分からない。

 もちろん、政府の要請には法的拘束力がなく、例年定められた選考開始日以前に「面談」という名目で学生と接触する方法も取られてきたが、毎年スケジュールをチェックして採用活動を実施することは大前提だ。

OB・OG訪問やインターン、説明会などの設定や調整

 新卒採用では、応募者の母集団を形成するために、選考活動を始める前にOB・OG訪問やインターン、企業説明会など学生と接点を持つ機会を設けることが一般的だ。

 毎年のように改変のあった「就活ルール」に合わせて学生側も企業とのつながりを持つために、積極的に動いている。優秀な学生に適切なタイミングでアプローチできるよう、それぞれの機会で獲得した学生の情報をまとめ、必要に応じてフォローできるような状態に管理したい。

不採用者・内定辞退者を出しやすい

 新卒採用は中途採用よりも母数が多く、扱う情報量も増えるため、応募者情報の管理も煩雑になりやすい。必要な情報をすぐに参照できるよう、応募者から必ず集めるべき情報を精査し、効率的に管理するにはどのようなツールを使えばよいかを見直す必要があるだろう。管理ツールは、大量の情報を整理しやすい、入社手続きに必要な情報を他の労務系システムなどに引き継げるといった特徴が重視される。

 また採用期間が長いことから、複数の内定を獲得した後に就職先を決める学生もいる。内定辞退となれば企業側としては採用コストが無駄となるため、内定後のフォローがカギを握る。採用管理を支援する採用管理システムの中には、メッセージングアプリの「LINE」と連携して、応募者への連絡手段を一元化できるものもあり、採用活動の一助となるだろう。

 ただ2019年、 過去に、就活サイトが提供する採用支援サービスにおいて、学生の個人情報が不適切に企業に渡った事件があった。個人情報保護委員会がサイト運営会社に勧告・指導を行ったことは記憶に新しい。企業側としては適切なプライバシーポリシーにのっとり、個人情報を取り扱う必要がある。

中途採用は採用窓口が多様

 中途採用は、応募者それぞれの採用スケジュールが個別に進むことを考慮しなければならない。中途採用の窓口は、自社サイトからの申し込み、従業員の紹介、転職エージェントからの紹介、求人サイトからの申し込みなど多様だ。チャネルごとに異なる採用フローを用意し、応募者ごとの採用スケジュールも個別に進めなければならないことが管理を煩雑にさせる。

 

通年で中途採用を実施している場合、さまざまな人材に出会えるメリットがある。一方で、中途採用は多くの企業が短期決戦で臨むため、優秀な人材が先んじて他社に決まることがないよう、応募者ごとの選考期間は新卒採用と比べて短いことが一般的だ。

 ただ期間を短くしようとして面接回数を少なくすれば、応募者が不安を感じてしまう可能性もある。応募者に必要なフォローや細やかな情報共有は必須だ。また、常日頃から現場のヒアリングなどを通して自社に必要な人材像を把握し、短期にマッチした人材を探せるようにする必要がある。

 なお、大学卒業後、就職してから3年以内に退職した人のことを「第二新卒」と呼ぶ。採用の評価としては新卒に近く、即戦力が求められる中途採用と比べて、ポテンシャル採用の側面が強い。

個人情報の取り扱いに注意を

 新卒や中途にかかわらず、必ず留意すべきポイントの一つとして、個人情報の取り扱いが挙げられる。履歴書やエントリーシート、職務履歴書には応募者の個人情報が多分に含まれている。応募者にはプライバシーポリシーに同意してもらい、得た情報は適切に管理したい。

 特に履歴書は紙に電子データにと異なる場所に情報が散在するため、それぞれ紛失しないような配慮が必要だ。不採用や内定辞退の場合には事前に同意されたプライバシーポリシーに基づき、情報を破棄することも忘れてはならない。

採用して終わりではない、人事系システムの活用も視野に

 新卒採用、中途採用ともに内定者へのスピーディーかつ手厚いフォローが、優秀な人材を獲得する上でカギを握る。入社後は定期的に面談を行うなどして、採用した人材が企業に定着するようフォローしたい。採用時の情報を人事評価システムやタレントマネジメントシステムに適切に引き継げれば、ひいては人材のアンマッチを避けることにつながる。採用管理ツールによっては、他の人事系システムと連携できる機能が実装されているため、社内での情報共有を効率化できる。

 採用管理に課題を感じたら、新卒採用・中途採用の違いと共通点を踏まえ、それぞれどのような機能を持った採用管理ツールが適しているのかを精査し導入することで、優秀な人材の獲得と採用管理業務の効率化を実現できるかもしれない。

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