2020年のテレワーカーの数は、2019年と比較して約10倍にまで伸びた。しかし、今後、テレワークを徐々に縮小、廃止する企業も出てくるとみられている。
IDC Japanは国内テレワーク導入企業を産業分野分野別、従業員規模別で分析し、2025年までの動向を予測した。
IDCの調査によると、2020年の国内テレワーク導入企業は2019年の62万社から161万社に拡大し、テレワークの実施率は2019年の16.3%から42.6%になったと推計する。また、テレワーカーは、2019年の約100万人から997万人と大きく拡大したと推計する。
同社の予測分析によれば、2020年にテレワークを実施した企業の一部は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応方法を理解し始めたことや、経済活動を進めることなどから、2021年でテレワークを廃止、または縮小することを考える企業もあるという。
さらに従業員規模1000人未満の中堅・中小企業の10.5%、大企業の7.7%の企業では、COVID-19収束後のテレワーク廃止を考えており、テレワーカーの縮小割合は、中堅・中小企業で41.1%、大企業で42.9%あることが分かった。
ワクチン接種によってCOVID-19が収束するとみられる2022年でのテレワーク導入企業およびテレワーカーは、一時減少するとIDCは予測する。
テレワークによって、従業員の多彩な働き方への対応方法が見え、経費軽減を実現できた企業もある。一方で、テレワーク環境下での従業員間のコミュニケーションのとりにくさや、従業員のメンタルヘルスなどの課題も同時に見えてきた。
今後はテレワークのメリットと課題解決を模索する企業が増加することを考慮し、2023年以降は再びテレワーク実施企業が徐々に増加することが予測される。これらを背景に、IDCは2020年〜2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス0.9%とみている。
IDC Japanの浅野浩寿氏(PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト)は、「2020年はCOVID-19の拡大抑制を目的とした外出制限により、国内テレワーク導入企業は大幅に増加した。初めてのテレワークでありながら、短期間で導入できた企業も多い。テレワーク導入によって、そのメリットや課題をあらためて認識できたが、企業によっては十分にIT活用をできないまま、今後テレワークを廃止または縮小するところも多い。今後テレワークの有効的な活用方法に関するコンサルティングが、より重要になると考えられる」とコメントする。
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