高度なスキルを持つIT人材が、柔軟な環境の中で稼ぐようになっている。特に需要の高い分野やIT副業人材の時給、採用プロセスとは。
働き方の多様化が進み「IT副業人材」の活用が広がっている。企業はコストよりもスキルを求めて正社員より高額の報酬でIT副業人材を迎え入れ、需要の高いスキルを持つ人材が柔軟な環境の中で高い報酬を得ている。
調査の結果、企業がIT副業人材の活用を進める理由と需要の高い技術、人材の採用が活発なルートが見えてきた。
2021年6月2日、副業/フリーランスエンジニアのマッチングプラットフォーム「doocyJob」を運営するBrocanteが、企業のIT副業人材の活用実態に関する調査結果を発表した。調査はdoocyJobを利用している企業を対象に実施したもので、2021年5月19〜31日の期間中に104社から有効回答を得た。
結果によると、IT副業人材を活用している企業の割合は40.4%、検討中は9.6%で、半数の企業がIT副業人材の活用に向けた動きをとっていた。IT副業人材を活用する企業の狙いを聞くと「外部人材の専門スキルを活用したい」(43.8%)や「正社員になる可能性のある人材との接点を持ちたい」(31.3%)と回答した割合が高かった。
IT副業人材を活用している職種は「フロントエンドエンジニア」(25.3%)や「サーバサイドエンジニア」(22.2%)、「デザイナー」(19.0%)が多い。他には「インフラ」(3.2%)や「技術顧問」(3.2%)、「情報システム」(2.0%)などもあった。開発に必要な人材に需要が集中している状況が見て取れる。
IT副業人材に求めるスキル(プログラミング言語)を聞くと「JavaScript」(15.5%)が最も多かった。Brocanteはこの結果について「JavaScriptは一般的にフロントエンドで使われる開発言語とされており、Vue.jsなどのフレームワークを多くの企業が採用していることや、フレームワークが豊富でサーバサイド開発にも利用の幅が広がっているため需要が高まっている」と分析している。
その他には「PHP」(12.2%)や「Ruby」(11.0%)、「Python」(9.9%)、「Kotlin」(8.8%)などの回答があった。「Java」は6.6%で9位だった。Brocanteはこの結果について「SIerなどの大規模システム開発でニーズが高いが、JavaScriptやPHPほどの副業需要はない」と延べ、スタートアップやベンチャーを中心としたWebサービスを運営する企業ではIT副業人材の活用が進んでいる一方で、大手SIerなどではまだ活用が少ないと見ている。
IT副業人材の報酬(時給)を1000円刻みで分けると「4000〜4999円」が最も多く、28.6%を占めた。次いで「3000〜3999円」が25.0%だった。5000円以上をまとめると32.1%に上る。Brocanteは「開発リソース確保のためのIT副業人材と、社外からの専門性を求める場合で報酬相場が異なっている」と推測している。
IT副業人材を採用するための手法で最も多かったのは「社員・知人紹介」で39.0%を占め、次いで「SNS」の31.7%だった。
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