世界から期待と関心が集まる量子コンピューティング技術。年間IT予算の17%以上を量子コンピューティングに投入する企業の割合は、2023年には19%にまで増加するという。
量子コンピューティングへの投資は今後24カ月で増加する見通しだ。IDCは、年間IT予算の17%以上を量子コンピューティングに投入する企業の割合は2021年の7%から、2023年には19%にまで増加すると予測する。量子コンピューティングによるAI(人工知能)機能の強化やセキュリティの向上、アルゴリズムの最適化を通じて、ビジネスプロセスを改善し、競争優位性を確立したい企業が投資のけん引役となるだろう。
IDC Japanが発表した最新の調査結果によると、2021年初頭において、量子コンピューティングに関心のある企業のうち5分の1が「現在使用している」と回答し、3分の2が今後18〜24カ月以内に検証を開始する予定だと回答したという。
テクノロジーの複雑性やスキルセットの制約、リソース不足、コストの問題により、量子コンピューティングへの投資に踏み切れない企業もある。こうした懸念を解消するために、量子コンピューティングベンダーや一部のクラウドサービスプロバイダーおよび独立系ソフトウェアベンダーは、検証用のクラウドベースの量子コンピューティングソリューションを企業向けに提供している。
量子コンピューティングに必要な技術やアプリケーション、テクニカルサポート、その他のリソースへのアクセスを企業に提供するサービスも出始めている。「Quantum Computing Infrastructure as a Service」(QCIaaS)、「Quantum Computing Platform as a Service」(QCPaaS)、「Quantum Computing Software as a Service」(QCSaaS)などが挙げられる。関連するテクニカルおよびビジネスコンサルティングサービスも普及が進んできている。
IDCのヘザー・ウェスト氏(Infrastructure Systems, Platforms, and Technology シニアリサーチアナリスト)は、次のように述べる。
「量子コンピューティングは未来の産業であり、大量のデータやAI、機械学習を利用してリアルタイムのビジネスインテリジェンスを加速させ、製品開発にイノベーションを起こすことを望む企業にとって、大きな変化をもたらすインフラストラクチャだ。さまざまな業種、企業は今後の競争優位性を獲得するために、量子コンピューティングの可能性を探る検証を進めている。量子コンピューティングに関心のある企業は、この技術への投資をためらっている場合ではありません」
また、IDCのステファノ・ペリニ氏(European Quantum Computing Launchpad co-lead シニアリサーチアナリスト)は、「量子コンピューティングはまだ初期段階ですが、欧州の企業では関心が高く、その取り組みが着実に増え続けている。こうした動きによって、年ごとに成長しつつある欧州の量子コンピューティング市場は漸進的に発展している」と現状を語った。
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