2021年第2四半期の国内サーバ市場は売上額ベースで全体的にマイナス成長となった。ある分野では対前年比で40%減と大幅なマイナス成長となった一方で、出荷台数は4倍超になった。
IDC Japanが2021年10月1日に発表した「2021年第2四半期(4月〜6月)の国内サーバ市場動向」によれば、2021年第2四半期の国内サーバ市場全体の売上額は1069億円で、前年同期から19.8%減少した。出荷台数は、同4.0%増の11万2700台だった。
ベンダー別市場占有率(売上額ベース)を見ると、1位のベンダーが22.6%、2位は14.8%、3位は14.5%、4位は10.8%、5位は6.6%だった。2位と3位のベンダーは、3位のベンダーが前四半期からシェアを落として順位が入れ替わった。1位のベンダーは、前年同期比でもシェアを大きく落としている。
市場を製品別で見ると、x86搭載サーバの売上額が対前年同期比9.2%減の811億円、出荷台数では同5.2%減の9万9700台となった。そのうちx86 Standard Server(ベンダーが公開するカタログに掲載されたサーバ)は、売上額が同10.9%減の655億円、出荷台数では同3.8%減の8万200台。x86 Custom Server(主にクラウドサービスベンダーがODM Directなどから調達するサーバ)は、売上額が同1.1%減の156億円、出荷台数では同10.5%減の1万9500台だった。x86 Custom ServerはARM搭載サーバへの移行が進み、2021年第1四半期に続いて落ち込みを見せた。
x86以外のプロセッサを搭載したサーバの売上額は対前年同期比41.4%減の257億円で、出荷台数は同314.5%増の1万3000台だった。前年同期に官公庁向けスーパーコンピュータ「富岳」の特需があった反動で売上額は大幅なマイナスになったが、出荷台数はARMサーバの増加がけん引して大幅なプラスとなった。
IDC Japanでエンタープライズインフラストラクチャのリサーチマネージャーを務める下河邊雅行氏はx86 Severについて「間接販売を中心とした中堅中小企業向けでは新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの、大企業向けは回復しつつある」と述べている。一方で、半導体供給不足によるサーバビジネスへのマイナスの影響を指摘し「回復基調にある大企業向けx86 Serverを確実に獲得するためにも、今後ITベンダーは、サーバ製品の需給管理により注力する必要がある」と述べている。
なお、IDCは2021年第2四半期からサーバの分類方法を変更した。従来は、「x86サーバ」「メインフレーム」「その他のサーバ」の3つに分類していたが、今後は「x86」と「Non-x86(x86以外のCICS、RISC、EPIC、ARM)」の2つに分類する。ベンダー独自のOSを稼働させていたx86サーバ製品の分類は「メインフレーム」または「その他のサーバ」から「x86」に分類される。
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