ひとり情シス協会は、独立系、大手企業グループ会社系の日本国内の中堅中小企業を対象に、「ひとり情シス実態調査」「中堅企業IT投資動向調査」を実施した。「ひとり情シス」の実情を探り、2022年に向けての新たな傾向が明らかになった。
「ひとり情シス」とは、中堅中小企業において社内の情報システムを一人で担当している状態のことだ。
ひとり情シス協会は、従業員50〜500人までの独立系、大手企業グループ会社系の日本国内の中堅中小企業を対象に「ひとり情シス実態調査」「中堅企業IT投資動向調査」(調査期間:2021年12月13〜31日)を実施した。
中堅中小企業の情シスの現状や採用戦略、外部パートナーの活用状況などが明らかになった。
従業員数100〜500人の「ひとり情シス」企業は32%と微増である。また、58%のひとり情シス企業で大きく上回る増員意向が明らかになった。コロナ禍をきっかけとしたテレワーク環境準備、デジタル化への対応など、業務量の増加や働き方改革の浸透による実働時間減少などから情シスの増員の必要性を感じている(図1)。
社内にIT専任の従業員がいない「ゼロ情シス」企業は、IT環境やセキュリティ対策、資産管理などで情報集約が急務で、社内方針の徹底などの役割を持つ担当者が求められる(図2)。
ひとり情シス企業やゼロ情シス企業の増員や専任の傾向が明らかになった。以降で、“ジュニア”情シスの増加や採用の現状、外部パートナーの活用状況についても説明する。
調査からは、定年退職または転職したひとり情シスの後任として、情シス経験の浅いひとり情シスが増加していることも判明した。ひとり情シスの24%は「経験が3年未満」だった。社内の管理部門や技術部門から異動して着任する場合と、IT業界の勤務経験者の転職者の割合が54%を占めた(図3)。
企業は情シスの採用に積極的だが、36%の企業が「極めて採用が難しい」と回答するなど、実際の採用活動で苦心している(図4)。主な理由として、「給与面や必要なスキルのアンマッチ」が挙げられた。
ひとり情シスの業務量増大に伴い外部パートナーの積極的な活用が進んでいる。比較的軽度なPCクライアント管理やヘルプデスクなどのアウトソーシングというより、プロジェクト管理やBCP環境構築などのプロフェッショナルワークの外部委託意向が明らかになった(図5)。
2021年はコロナ禍が始まって2年目に入り、依然としてテレワーク環境やBCP(事業継続計画)対策での忙殺されている状況や、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの企業競争力強化に携わる傾向も確認できた。
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