ハンモックは、OCRの解約理由に関する実態調査の結果を発表した。OCRが定着するまでにかかる期間や解約理由、再導入の可能性などが明らかになった。
業務プロセスの効率化において、紙に書かれた文字を認識するAI-OCR(人工知能を使った光学文字認識)の有効性が注目されてきた。近年は、RPA(Robotic Process Automation)などの自動化ツールと連携させ、より広範囲な業務のデジタル化を目指すケースもある。だが、AI-OCRの導入や運用に「失敗」し、解約を余技なくされる事例もあるようだ。何につまずいたのか。
ハンモックは2022年8月3日、「OCRの解約理由に関する実態調査」(実施期間:2022年7月21日〜22日)の結果を発表した。OCRを導入したもののサービスを解約した人で、100人から有効回答を得た。
まずOCR導入から運用定着までの時間を見ると、「2週間〜1カ月未満」と回答した人の割合が28%と最も高く、「1カ月〜3カ月未満」が21%、「3カ月以上」が17%だった(図1)。
OCRサービスを導入したものの、失敗または解約した理由としては「文字の認識精度が低い」と回答した人が最も多く46%(複数回答)を占めた。これに「帳票設計が難しい」(39%)、「専任の担当者が必要だった」(33%)、「人によるチェックの手間が多くかかる」(24%)が続いた。少数意見として「想定よりも開発費用がかかった」や「文字化けでクレーム問題になった」という声もあった(図2)。
OCRを活用した業務は属人的になりやすいことも、サービス解約理由の一つのようだ。「担当者の異動や多忙によって、OCRを活用した業務の引き継ぎができなかった経験はあるか」と聞いたところ、「とてもある」と回答した人の割合が9%、「ややある」が38%だった(図3)。
一方、読み取り精度が高く、人手をかけずにデータ化できれば、OCRを再導入する意向を持っていることも分かった。「今後OCRを再導入する場合、どのようなサポートや機能を求めるか」との問いに対する回答のトップ3は、「高精度のデータ化」(45%、複数回答)、「スピードの速さ」(37%)、「OCR結果の確認作業の省略」(33%)だった(図4)。
「AI OCR+人のチェックで高精度にデータ化し、自社での入力作業をゼロにするサービス」の利用意向を聞くと、「とても利用したい」と回答した人の割合が10%、「やや利用したい」が41%で、半数の人が利用したいと答えた。
なお、ハンモックでは、今回の調査で解約理由の1位になった「文字認識の低さ」について、この問題の裏にはOCRが自信を持って読み間違えてしまう「誤読」が含まれるとしている。技術の進歩によってOCRの読み取り精度は高まったものの、実際には「誤読」の問題やそれをチェックするために、担当者が全件あるいは一部を目視でチェックして運用している企業が多いという。
さらに、OCRを運用するには、帳票設計の作業やOCR結果の確認作業をする人員が必要だ。今回の調査では、担当者の不在や異動からOCRの運用が難しくなり、解約に至った背景が読み取れるとしている。
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