企業はSaaSを利用することで生産性や売上を上げるだけでなく、従業員の定着や活躍にもつなげることができる。一方、SaaSのインシデントは増加しており活用に慎重な企業も多い。企業がSaaS導入に踏み切れない本音が見えてくる。
キーマンズネット編集部は2023年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「電帳法/インボイス」「Windows 11」「社内ヘルプデスク」「音声コミュニケーション」「デジタルスキル」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2022年11月11日〜12月12日、有効回答数654件)。企業における2023年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
第3回は「SaaS型業務アプリケーション」の調査結果を見ていく。企業がSaaSに対して抱く“漠然とした不安”の正体が見えてくる。
まず、業務に当たって利用しているSaaSの利用状況を聞いたところ、「オンライン会議」(80.4%)が際立って高かった。ビジネスにおけるオンラインの商談の浸透度合いが見て取れる。一方、前回の調査では69.3%と高かった「ファイル交換」は52.3%と、1年で17%も導入率が下がった(図1)。
また、本調査から新規で追加した項目は、「経費精算」(47.2%)、「プロジェクト管理ツール」(29.4%)という結果になった。
SaaS導入の経緯についても聞いたところ、「業務部門の要望を受けてIT部門が選定した」が33.6%と最も多く、以降「経営者の指示に従ってIT部門が探した」(28.6%)、「経営者がトップダウンでサービスを指名した」(12.8%)と続いた。
約6割の企業は、IT部門が他部門の要望を基にSaaSを選定している一方、一部の企業は経営層の判断によって導入の意思決定をしているようだ。以下のフリーコメントからは、トップダウンで現場に理解のないサービス選定がされている様子が分かる。
次に、SaaSの満足度とその理由を聞いた(図3)。フリーコメントには、SaaSに対する満足、不満足の意見が多く寄せられたのでまとめて紹介する。
まず、SaaSにおおむね満足している意見として、「大きな問題がない。管理工数が軽減できる」や「人身的なミス以外でインシデントが発生しておらず、おおむね安全に運用できているため」「何度か製品の入れ直しを繰り返し、今のところおおむね満足している」といった声が寄せられた。
他にも、「初期コストを抑えられることと、トライアルから本番利用へ進めることができる」や「コストパフォーマンスに優れている」「使い勝手が良い。コスパも良い」など、コストパフォーマンスに満足しているとの声も多い。
一方、機能には満足しても他の部分で満足できていないとの声が寄せられたので紹介する。
SaaSを効果的に利用することで、企業は生産性や売上を上げるだけでなく、従業員の定着や活躍にもつなげることができる。一方、サイバー攻撃によるSaaSのインシデントは増加しており、活用に慎重な企業も多い。
そこで最後に「SaaSを導入する際のセキュリティに関する課題、問題点」をフリーコメントで聞いた。寄せられた回答から、多くの企業がSaaSの利用に対して不安を抱えているのが見て取れる。
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