参加する必要のない“無駄会議”は、従業員の生産性を大きく下げる。会議を強制的に減らした企業の事例と、取り組みのコツを紹介する。
参加する必要のない“無駄会議”は、従業員一人当たりの勤務時間のうち3分の1を占めるという。そういった状況を脱却するため、従業員のカレンダーから余計な会議を強制的に削除した企業の事例と取り組みのコツを紹介する。
TechSmith Corp.は2023年1月11日、1カ月間会議を行わず、コミュニケーションは“非同期”のツールに頼る実験を実施したところ、生産性が向上したと発表した(注1)。
同社は、「実験後、仕事に生産性の高さを感じると強く同意した従業員」が15%増加したと発表している。実験後は興味深いことに「会議の重要性に対する意識」は8%上昇し、従業員が会議の時間についてより深く考えるようになったことを示している。
TechSmithによると、調査対象となった従業員の大多数は今後、「会議の代わりに非同期コミュニケーションの習慣を検討する」と回答している。TechSmithのウェンディ・ハミルトンCEO(最高経営責任者)は「ハイブリッドやリモート環境で企業が機能するためには、テクノロジーが重要であることは明らかだ。従業員が変化する環境に適した新しい習慣やワークフローを形成できるよう、“文化の再起動”から始める必要がある」と述べた。
他の調査からも、従業員は会議にうんざりしていることが分かる。一部の会議は従業員に損害を与えている可能性すらあるという。
Otter.aiが2022年9月に発表したレポートでは、調査対象者のほぼ半数が、「自分のカレンダーには会議が多すぎる」と答え、「週に5つ程度の会議なら簡単に省略できる」と指摘している(注2)。仮に雇用主が従業員に8万ドルの給料を払っていて、会議の3分の1近くが不要と考えられる場合、「従業員1人当たり2万5000ドルもの無駄遣いになる可能性がある」と、報告書は述べている。
従業員はOtter.aiに、「会議を断るのは罪悪感が大きすぎる」と話している。これに対してOtter.aiは、「『これはメールでもよかったのに』というような状況を避けるために、人事部が(会議の)トーンの変更を指導し、他のコミュニケーションチャネルに移行できるかどうかを再検討するようチームに促すこと」を提案した。
Shopifyは年初にこの問題に取り組み、ほとんどの会議を完全にキャンセルした(注3)。同社は従業員のカレンダーから3人以上で定期的に実施されるミーティングを全て削除し、約1万件のイベントを削除した。
この方法は議論を呼んだが、専門家は「雇用主がこの例を参考に自社の会議を再検討し、継続する会議には明確な目的、明確な目標や成果物があることと、テクノロジーを包括的に利用できることを確認するべきだ」と指摘した。
出典:One company canceled all meetings for a month. Employees felt more productive.(HR Dive)
注1:TechSmith’s Async-First Study Eliminated Meetings and Saw +15% Increase in Employee Productivity
注2:Employees are sick of all these meetings, study says
注3:Shopify thinks canceling meetings will boost productivity. Experts are split.
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