2023年5月には感染症法上の位置付けが「5類」へと移行予定の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。コロナ禍で定着したオンライン会議はどのように変化するのだろうか。企業規模別、業界別の調査結果から企業の意向を探る。
帝国データバンクが2021年9月に実施した調査によると、コロナ禍をきっかけに利用が進んだオンライン会議の導入割合は49.4%と5割に迫ったという。2023年5月には感染症法上の位置付けが「5類」へと移行される予定で、今後、企業の働き方とともにコロナ禍で定着したオンライン会議がどのように変化していくかが注目される。
帝国データバンクが全国2万7628社の企業を対象に実施した社内外の会議に関する実態調査(実施期間:2023年3月17〜3月31日、有効回答企業数:1万1428社)を基に、アフターコロナの会議の変化を見ていく。
社内会議の実施方法について尋ねた項目では、「主に対面で実施」と回答した企業は61.8%。「主にハイブリッドで実施」が26.3%と続き、「主にオンラインで実施」は6.3%だった。
一方で、社外会議については「主にハイブリッドで実施」が50.2%で最も割合が高く、社内会議よりも23.9ポイント高い。「主に対面で実施」は26.8%となり、社内会議を35.0ポイント下回った。また、「主にオンラインで実施」は14.8%と社内会議よりも8.5ポイント高く、オンライン会議を積極的に導入(「主にハイブリッドで実施」「主にオンラインで実施」の合計)の割合は65.0%に上った。
社内会議の実施方法について企業規模別にみると、「主に対面で実施」では「大企業」が35.3%、「中小企業」が66.7%、「うち小規模企業」が75.0%となった。一方で、「主にハイブリッドで実施」や「主にオンラインで実施」は企業規模が大きくなるにつれて割合も高くなり、「大企業」においては「主にハイブリッドで実施」(53.6%)が半数を超えた。
社外会議では、社内会議と同様に企業規模が大きくなるにつれてオンライン会議を実施する企業の割合は高まる傾向にあった。ただし、中小企業でも「主にハイブリッドで実施」は48.0%と5割近くを占め、「主にオンラインで実施」(14.7%)と合わせると、社外との会議について「オンライン会議を積極的に導入」の割合は62.7%に上ることが示された。
社内会議の実施方法について業界別にみると、業務上現場での作業が多い農・林・水産業や建設業では「主に対面で実施」の割合が比較的高く、「主にハイブリッドで実施」および「主にオンラインで実施」の割合は低い傾向にあった。一方で、金融業やサービス業ではオンライン会議を積極的に導入する割合が相対的に高い。社外との会議については社内会議と同様に金融業やサービス業におけるオンライン会議を積極的に導入企業の割合は比較的高い傾向にあった。
さらに、社内外会議について「オンライン会議を積極的に導入」と回答した企業を業種別にみると、ソフト受託開発を含む「情報サービス」(社内:68.0%、社外:90.7%)は社内、社外ともに回答企業全体(同32.6%、同65.0%)を25ポイント以上上回った。また、「人材派遣・紹介」(社内:46.6%、社外:83.0%)や「広告関連」(同40.7%、同78.8%)も目立った。
社内外会議について「オンライン会議を積極的に導入」と回答した企業を地域別にみると、社内会議では、東京都を含む「南関東」は42.1%と全体(32.6%)を10ポイント近く上回った。また、「近畿」(35.5%)は3割超となった。社外との会議では、「南関東」(69.2%)のみ全体を上回った。テレワークなど在宅勤務の実施割合が比較的高い都市部においてオンライン会議がより活用される傾向が示された。
オンライン会議は、通信環境に左右される点や、参加者の表情や雰囲気が読み取りにくい、話し手の熱意や有形製品などの魅力が伝わりにくいなどのデメリットも指摘される。一方で、移動時間の短縮などによる生産性の向上やコスト削減といったメリットに加えて、事業を継続する上で脅威となる災害の発生などさまざまなリスクによる被害の低減、BCP(事業継続計画)の効果も期待できる。
今後の動向について、企業からは特に社外との会議においてハイブリッドでの実施を継続するとの声が複数あがった一方で、新型コロナ「5類」移行などの動きにより、対面形式の会議が徐々に復活する可能性も示されており、移動や出張の機会は増加するとみられる。
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