NTT西日本は、回線開通業務の効率化に向けて、システム連携やデータ統合および一元管理基盤をOCIに構築したと発表した。オンプレミスで膨大な回線開通業務を行っていたNTT西日本は、どのようにして業務の効率化と内製化を実現したのか。
日本オラクルは2023年5月31日、西日本電信電話(以下、NTT西日本)が「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を採用し、2023年2月に稼働したと発表した。
NTT西日本は、回線開通業務の効率化に向けて、システム連携やデータ統合および一元管理基盤をOCIに構築した。
NTT西日本は、地域格差の是正や労働人口減少への対処など、さまざまな社会課題に対してICTを活用した解決を目指し、国内30府県の地域における電気通信事業を展開している。
同社は、NTTグループが展開する中期経営計画「Your Value Partner 2025」の基、業務(営業や保守、開発など)のデジタル化や自動化、標準化を図る。NTT西日本は取り組みの一環として、人手による作業が大半を占める回線開通業務の作業負担を軽減して、より迅速かつ高品質なサービスを提供し、戦略的分野や新規ビジネス開拓に多くのリソースを投入することを目的に回線開通業務システムを見直している。
NTT西日本の回線開通業務は、回線の開通や変更、廃止などを含めると膨大な量となる。従来は、さまざまな部署の担当者がオンプレミスの異なる網に配置された複数の業務システム内データを参照し、大半の業務を手作業で行っていた。NTT西日本では、これらの業務の効率化を内製かつ低コストで行うため、既存システムを大幅に改修するのではなく、パブリッククラウドにシステム連携およびデータ統合基盤を新たに構築した。
NTT西日本はパブリッククラウドの選定に当たり、構築や運用管理の負荷軽減を重視した。同社は2021年12月、ローコード開発や自律型データベースなど、IaaSおよびPaaSのサービスを従量課金で低コスト、セキュアに利用できることを理由にOCIを選定した。
NTT西日本は基盤構築で、自律機能によりデータベース構築、運用管理負荷を軽減する「Oracle Autonomous Database」で業務システムから送信されるデータを統合、一元化した。また、ローコード開発ツールである「Oracle APEX」で、これらのデータから開通業務の進捗を一元で確認可能なユーザーインタフェース(UI)を構築し、利用開始後のUI変更も容易にした。既存の基幹システムには手を加えず、基幹システムから取り出した大量の回線開通に関わるデータを自動的に仕訳してデータベース化し、必要なデータの検索を可能にした。
NTT西日本は進捗の可視化基盤を2022年12月に実装し、2023年2月に稼働した。同社は今後、OCIで提供されるローコード開発ツールやクラウドネイティブサービスを活用し、内製化による社内業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するとした。
NTT西日本の小田孝和氏(執行役員 デジタル改革推進部 部長)は以下のように述べた。
「当社の回線開通業務は複数の業務システムを横断して実施する業務であるため、業務効率化を検討するに当たってはシステム改修による統合も選択肢の一つでしたが、そのためには相当の時間とコストが必要となります。今回、OCIを活用することで、大きなシステム改修を行うことなく、システムの一元化および可視化のための連携基盤を低コストで構築できました」(小田氏)
また、日本オラクルの三澤智光氏(取締役 執行役 社長)は以下のように述べた。
「数百万人の加入者や幅広い製品ポートフォリオ、レガシー環境などによって通信事業者の業務はますます複雑化しています。NTT西日本は、OCIを採用することで、システムやアプリケーションのモダナイゼーションによるデジタル変革を促進し、より多くの人員やリソースを社会により大きなインパクトを与える事業に投入できるようになります」(三澤氏)
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