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1番人気のPCメーカーとスペックは? 業務PCの利用実態調査企業におけるPCの利用状況(2023年)/前編

業務で欠かせないPC。人気のメーカーと求めるスペック、選定で重視するポイントとは?

» 2023年06月22日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 総務省の「令和4年度版 情報通信白書」によると、2021年のPCの世帯保有率は69.8%で、スマートフォン(88.6%)に次ぐ普及率であった(注)。

 キーマンズネットでは「PCの利用状況に関するアンケート」と題して業務PCの利用状況に関する調査を実施した(実施期間:2023年5月26日〜6月5日、回答件数:375件)。前編となる本稿では「PC種類別での利用率」や「利用PCのスペック」などを中心に利用実態を紹介する。

8割が「ノートPC」利用 人気のメーカーは?

 はじめにPCの利用形態について調査したところ「職場で支給されているノートPCを利用している」(80.8%)が大多数で、次いで「職場で支給されているデスクトップPCを利用している」(35.5%)、「職場で支給されているタブレットPCを利用している」(7.7%)となった。

 2019年10月に実施した同様の調査と比較すると、ノートPCの利用率が7.1ポイント増加した代わりにデスクトップPCが14.5ポイント下がった。コロナ禍によりテレワークシフトが進み、自宅に持ち帰れるノートPCの利用率が上がっているものと思われる。

 官公庁や研究所、教育や医療機関などでは、他業種と比べてデスクトップ利用率が高い。民間企業と比べてテレワークの導入が進んでいないためか、デスクトップPCの利用者が多いのかもしれない。

図1 業務PC利用形態(業種別)

 では、企業においてはどのメーカー、ブランドのPCが人気なのだろうか。

 メーカー別で利用率を見ると「HP」(29.6%)や「Dell」(29.6%)に続き、「富士通/FCCL」(18.9%)、「パナソニック」(16.8%)が後を追う状況だ(図2)。「その他」の中では「NEC」や「マウスコンピューター」などが挙がった。

 「Apple」の割合は全体で見ると少ないが、従業員100人以下の中小企業で特に利用者が多いようだ。

図2 メーカーごとのPC利用率(従業員規模別)

現在Lenovo、NEC、FCCLは全てLenovoグループだが、本調査ではより精緻に利用実態をつかむためブランド別に選択肢を用意した。

「低スペック」PCを利用する企業の特徴は?

 次に業務PCのスペックを見ていこう。搭載メモリ(RAM)は「8GB」(49.9%)、「16GB」(31.7%)に回答が集まった。業種別に見ると「その他業種(教育機関や官公庁など)」で「4GB」という回答が比較的多い(図3)。公共系の組織では、「Microsoft Office」など限られたアプリケーションを利用するにとどまっているためか、民間企業に比べてPCのリプレースが進んでいない可能性もある。

図3 利用中のPCのメモリ(業種別)

 ストレージ(SSDまたはHDD)の容量は「256GB」(44.5%)、「512GB」(29.3%)、「128GB」(10.1%)の順となった。従業員規模別に見ると、「512GB以上」が60.4%と過半数を示したのは、100人以下の中小企業のみであった(図4)。この規模帯ではデスクトップPCの利用率が最も高い(51.6%)ため、ノートPCに比べてストレージ容量も確保しやすいものと思われる。

図4 利用中のPCのストレージ容量(従業員規模別)

「スペック」に続いて重視されるPC選定ポイントは?

 最後に業務PCにおいて「重視するポイント」を聞いたところ、大きく2つの特徴が見られた(図5)。

 一つは「メモリ」(76.3%)や「CPU」(72.8%)、「ストレージ容量」(47.7%)といった「スペック」だ。想定する業務に耐えうるスペックであることは最低限の条件であり、当然外せない要件になっている。

 もう一つは「持ち運びやすさ」(46.9%)や「本体の頑丈さ」(27.7%)に見られる「可搬性」を重視する意見だ。この傾向は特に大企業において顕著で、テレワークシフトが進んだことで、状況に応じてPCを持ち運びたいという需要が表れているように見える。

図5 業務PCにおいて重視するポイント(従業員規模別)

 可搬性に関連して、大企業ではコンパクトなディスプレイサイズが好まれることも分かった。ノートPCまたはタブレットPCを業務で利用している企業に対してディスプレイのサイズを聞いたところ、14インチ以下(「11インチ未満」「11〜12インチ」「13〜14インチ」を含む)との回答が従業員1001〜5000人の企業で85.1%、5000人以上の企業で81.9%であった(図6)。100人以下の中小企業では60.0%で、その差は歴然だ。なお全体では過半数が「13〜14インチ」(51.4%)と回答しており、業種別でも傾向に変わりはなかった。

図6 利用中のノートPC・タブレットPCの画面サイズ(従業員規模別)

 以上、調査結果を基に、企業で利用されているPCのメーカーやブランド、スペックで重視するポイントなどを紹介した。後編では業務PCのリプレースや私的利用について、調査結果を紹介する。

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