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オラクルがExadataの最新版、X10Mを提供開始 X9Mとは何がどう変わる

日本オラクルは2023年6月22日、「Oracle Exadata」の最新世代となる「Oracle Exadata X10M」を発表した。従来世代と比較して性能が大きく向上したというが、その詳細は。

» 2023年06月26日 09時50分 公開
[大島広嵩キーマンズネット]

 日本オラクルは2023年6月22日、「Oracle Exadata」(以下、Exadata)の最新世代となる「Oracle Exadata X10M」(以下、X10M)を発表した。あらゆる「Oracle Database」のワークロードに対応し、従来世代と同等の価格から利用可能になるとしている。同日に開催されたメディア向けブリーフィングの情報を基に、X9Mからどのように進化したのかを紹介する。

最新版X10Mは何が変わったのか

 Oracleは常にOracle Exadataの機能を発展させてきた。最新版X10Mは何ができるのか。

 同社のアシッシュ・レイ氏(ミッションクリティカル・データベース・テクノロジー プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント)はまず、ハードウェアにおける強化ポイントとしてデータベースサーバ、ネットワークの接続性、ストレージサーバの3点を挙げた。

 「データベースサーバはプロセッサ、メモリ、ネットワークの3領域を強化しました。プロセッサに96コアの最新版『AMD EPYC』を採用したことで、大きな性能アップを実現できました。また、メモリの容量を50%増やすことで2.5倍読み込みを高速化しました」(レイ氏)

データベースサーバで強化された点(出典:日本オラクルの提供資料)

 ネットワーク周りではNICカードを3枚から5枚に増やしてネットワークの接続オプションを増やしている。DBサーバとストレージサーバの接続にRDMA(Remote Direct Memory Access)を採用したことで、広帯域、低遅延を実現した。

 ストレージサーバもデータベースサーバと同様、CPUとメモリの機能が向上させた。CPUにはAMDが採用され、コア数は32と従来の2倍になった。メモリには1.25TBのDDR5を搭載した。メモリは遅延は数マイクロ秒という低遅延を実現した。HDDの容量は216TBから264TBへと22%増えた。

 「ストレージサーバの性能がアップしたことで、データ集約度の高いワークロードに対しても、超並列でI/O処理ができるようになりました」(レイ氏)

ストレージサーバで強化された点(出典:日本オラクルの提供資料)

 「Exadataの利点は、お客さまがOracleのデータベース使う際、『性能はちゃんと出るんだろうか』『可用性はどうか』『必要な拡張性は確保できているのだろうか』という心配から解放されることです。今回もそういった部分はOracleがエンジニアリングした状態でお届けします。(中略)ユーザーを煩雑な設定作業から解放することで、本業のビジネスロジックに関する業務に注力することが可能です」(レイ氏)

 XDBサーバのCPUコア数増やコア当たりの性能が向上したことで、X10MにおけるOLTP(Online Transaction Processing)のスループットは従来製品比で3倍に向上している。同様にストレージサーバの書き込みのIOPS(I/O毎秒)も50%増大し、読み込みのIOPSも15%向上したことで低遅延を実現している。「さまざまなスペックアップにより、複数のデータベースを単一のExadata上に統合することも可能になる」とレイ氏は語る。

OLTPにおけるパフォーマンスを改善(出典:日本オラクルの提供資料)

 企業によっては、規則によりデータをオンプレミスに保持しなければならない。そういった企業がクラウドのメリットも享受するというニーズに対応するのが「Exadata Cloud@Customer」だ。データベースの運用と管理をOracleが担うため、ユーザーは工数を大きく削減できる。最後にレイ氏以下のように語った。

 「Exadataによるデータベースの統合によって大きなコスト節減効果が生まれます。また、さまざまな領域の性能アップにより事業の効率を大きく上げられます。お客さまはさまざまなデータ管理に関するニーズを持っていますが、Exadataを採用することでリアルタイムでデータからインサイトを得られるため、優れた事業成長を推進することにもつながります」

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