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職場への帰属意識が2極化 求心力が低い職場の特徴と回復する方法

職場に対する帰属意識を持つ人と持たない人の二極化が進んでいる。どのような企業は従業員の帰属意識が低いのだろうか。帰属意識を回復する方法とは。

» 2023年10月30日 07時00分 公開
[Carolyn CristHR Dive]
HR Dive

 職場に対する帰属意識を持つ人と持たない人の二極化が進んでいる。ある調査によると、41%の従業員は帰属意識を持つ場所として、家庭に次いで職場を挙げたものの、75%は職場で疎外感を覚えていると回答した。

 どのような企業は従業員の帰属意識が低いのだろうか。帰属意識を回復する方法とは。

従業員の愛着が低い職場の特徴

 コンサルティング事業を営むEYが2023年9月6日に発表した「Belonging Baromete」によると(注1)、41%の従業員は帰属意識を持つ場所として、家庭に次いで職場を挙げているが、75%の従業員は「職場で疎外感を覚えたことがある」と回答している。

 さらに、56%の従業員は「自分のアイデンティティーを職場で共有できない。または共有したくない」感じて、「そのことが職場における自己の抑制につながる」としている。LGBTQ+の場合、その割合はさらに高く、77%が職場で自分の一面を共有することに不快感を持っている。

 EYのカーリン・トワロナイト氏(ダイバーシティー・エクイティー&インクルージョン《DE&I》担当 グローバル・バイスチェア)は、声明で次のように述べた。

 「職場に対する帰属意識が増していることは励みになる。しかし、従業員が多様性に関することで職場で疎外感を覚えたり、自分を偽ったり、自分を隠したりしていることもまた事実だ。エンゲージメントやウェルビーイング、生産性を最大化し、従業員が自由に自分らしくいられるようにしたいと考えるリーダーにとって、1対1の進捗確認が最も重要な手段である」

 アメリカやイギリス、ドイツ、インド、シンガポールの従業員5000人を対象とした調査では、約32%が「仕事とプライベートの両方を確認することが帰属意識を築く上で大いに役立つ」と述べた。アメリカの回答者の39%が賛成しており、これは同調査における2018年の結果である38%と2020年の結果である37%に近い割合だ。

 柔軟性も帰属意識を高めるために役立つようだ。ハイブリッドワークや経済の不安定さの影響を受けた従業員によると、帰属意識が改善された理由の上位2つは「柔軟性」と「意見やニーズ、好み、個性をオープンにするように奨励されること」だった。

 また、45%は「勤務時間や勤務地に関する柔軟な働き方が、チームにおけるDE&Iの取り組みを促進するための最も重要な要因だ」と述べている。

 報告書によると、DE&Iの取り組みは採用や人材獲得において依然として重要な役割を果たしている。約74%の従業員は「企業がDE&Iを優先しているかどうかが就職先の選択に影響する」と回答しており、63%は「DE&Iを優先していない企業よりもDE&Iを優先している企業を選ぶ」と答えている。

 トワロナイト氏は次のように述べている。

 「今日の政治的、経済的な背景の中で、DE&Iは全ての世代に共通する職場への期待であり、企業にとっては競争上の優位性にもなる。また、DE&Iは企業が長期的な成長を実現するために一貫して取り組むべきものだ」

 健康に関するサービスを提供するWebMD Health Servicesの最近の調査によると(注2)、DE&Iの取り組みの中で帰属意識は重要な要素になっている。しかし、多くの従業員が「帰属意識の醸成に関するプログラムが自分には効果を及ぼさなかった」と報告している。従業員は安心して自分の意見を言えず、「キャリアアップの機会を奪われた」と感じているのだ。

 Indeedにおいて、ダイバーシティーやインクルージョン、帰属意識に関する業務を担当する人物は「HR Dive」の取材に対し、「2023年、企業が予算の見直しと削減を進める中で、リーダーはDE&Iの取り組みを常に念頭に置く必要がある」と述べた(注3)。彼女によると、従業員はDE&Iを優先する企業に参加し、とどまる傾向を持つという。特に、社会において阻害された背景を持つ人々は、帰属意識の強い職場で成長する可能性があるようだ。

 コンサルティング事業を営むKPMGの2人のアメリカのリーダーは、2023年の初めに次のように指摘している。

 「最終的に、多様性を有するチームは企業の収益に貢献する(注4)。企業のリーダーは、コミュニケーションや透明性、DE&Iに関する目標の達成への努力を通じて、DE&Iを具体的なビジネスの成果とするための進歩を実現できる。その進歩は測定でき、説明可能なものだ」

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