従業員研修のROIを定義、実証することは難しい。多くの雇用主が従業員育成の効果測定に苦労している実態が明らかになった。
従業員研修が財務に与える影響を明確に測定している企業は、約33%に過ぎないという。また、従業員研修の投資収益率(ROI)の明確な定義についても、意見はほとんど一致していない。
多くの雇用主が従業員育成の効果測定に苦労している実態が明らかになった。
オンライン学習サービスを提供しているD2Lが11月7日に発表したレポートによると(注1)、多くの企業は従業員研修プログラムのROIを測定するのに苦労しているという。
さまざまな業界のリーダーを対象とした調査では、46%が従業員研修のROIを実証することが課題であると回答した。
D2Lのサーシャ・サッカベリー氏(Wave担当シニア・バイス・プレジデント)は、「この調査結果は、従業員研修の効果を定量化することがいかに難しいかを示している。容易にするための鍵は、明確な指標を確立し、成功に必要なスキルを厳密に定義することだ」と述べた。
本調査で「従業員研修が財務結果に与える影響を明確に測定している」と答えたのは、調査対象者のうちわずか33%だった。また、75%が「今後の従業員研修戦略の一環として、より良い指標を求めている」と回答した。
多くの回答者が「従業員研修プログラムの効果やその結果としての生産性向上を一貫して測定することに苦労している」と述べた。また、従業員研修のROIの明確な定義についても、業界関係者の意見はほとんど一致していない。
また本調査は、「従業員研修を提供する主な動機」と「研修の実施と効果測定」で企業が直面する課題を明らかにすることも目的としている。約54%が「研修中に受講者の関心を維持することが課題である」と回答し、41%が「研修の効果を持続させることが課題と感じている」「研修内容が適切であることを保証することに懸念がある」と回答した。
調査によると、ROIの測定ギャップは新しい企業学習プログラムを導入している企業や、成熟したプログラムを導入している企業を含め、組織全体に広がっているようである。
「従業員研修が生産性や能力開発に与える直接的な影響の測定は、研修が特定の学習成果に適切に整合していれば容易である。組織には、テクノロジーや教育プログラム、コンテンツ、サポート・サービスなど、適切なソリューション一式が必要だ」(サッカベリー氏)
最近の報告書によると、リーダーシップ開発プログラムのROIは、平均して1ドルの費用に対して7ドルである(注2)。全体的なROIは、リーダーシップ開発への参加による収益や売り上げの増加、従業員の定着率の向上や採用コストの削減によるコスト削減から生じている。
米国商工会議所と人的資源管理協会の調査によると、COVID-19のパンデミックが混乱を招いたにもかかわらず、雇用主はスキル研修や能力開発への投資を維持または増加させた(注3)。人事担当者は「スキルベースのプログラムを含む人材開発を支援するために、民間と公共のパートナーが協力することが可能である」と指摘した。
出典:Survey: Companies struggle to measure the value of training(HR Dive)
注1:Study Finds, Better Metrics Needed to Measure Employee Training Effectiveness(CISION PR Newswire)
注2:Survey: 66% of adults say college doesn’t meet needs of today’s students(HR Dive)
注3:Employers see $7 ROI for every $1 spent on leadership programs, report sayss(HR Dive)
注4:Training investment kept up even during pandemic, study says(HR Dive)
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