難解と思われがちなデータ分析を手軽に学べるサービスが「Tableau Public」だ。BIツールに初めて触れる人にとっては入門的サービスとも言えるだろう。
データ分析プラットフォーム「Tableau」には、誰でも無期限で利用できる「Tableau Public」がある。用意された豊富なテンプレートを使うことでデータを容易に可視化できるサービスだ。無償で利用でき、データ分析の基礎が学べる入門的サービスとも言える。本稿では、Tableau Publicの使い方と利用するメリット、注意ポイントを解説する。
Tableau Publicにはデスクトップ版とWeb版がある。デスクトップ版は作成したグラフ図やファイルはローカルに保存され、Web版はクラウドに保存され全てが一般公開される。Web版を業務で利用する場合は、あらかじめ自社のセキュリティポリシーを確認したい。
「Viz」と呼ばれるグラフや表のサンプルが公開されていて、そこからインスピレーションを得てイメージに合ったグラフや表を簡単に作成できる。
Vizには作成した作者が表示されていて、SNSのように好きな作者をフォローすることでさまざまなユーザーのVizを試用できる。利用目的に合致するVizや共感できる作者のVizを一覧から選んで試用することで、「Tableauでどのデータをどう可視化すればいいのか」が実例を通して理解できる。公開されたVizを利用しながらデータ分析と視覚化の手法やTableauの使い方を無料で学べるのがTableau Publicのメリットだ。
ここからは、実際にTableau Publicの使い方を見ていこう。手順は次の通りだ。
1.Tableau PublicのWebサイトにアクセスする
2.「Tableau Publicに登録する」ボタンをクリックしてユーザー登録をする
3.サインイン後はそのまま「作成」メニューで「Web作成」をクリックすると、Tableauの編集画面に遷移し、手持ちのCSVやExcelファイルなどからデータを取り込むことでTableauの操作が可能になる
サイト上部のメニューから「Tableau Desktop Public Editionのダウンロード」を選択すると「Windows」と「macOS」に対応したデスクトップ版アプリケーションがダウンロードできる。
Web版では作成したデータはTableau Publicクラウドに保存され、ローカル環境には保存できない。保存されたデータを非表示にしたり他のユーザーがダウンロードできないように設定したりできるが、業務データの取り扱いには注意したい。
Tableau Publicは2009年にリリースされ、本稿公開時点で300万人以上に利用されている。保存されたVizは800万以上に上る。Vizを大量に配信しているユーザーはTableau Publicアンバサダーと呼ばれ、グローバルで現在83人、日本では5人が認定されている。豊富なVizの中から目的に沿ったVizを選ぶ方法は主に次の3つだ。
(1)Vizそのものを探索する
(2)Vizの作成者を探索する
(3)コミュニティーを通じてVizを探索する
サービス画面に表示される「Viz of the day(今日のViz)」を参照するのが(1)の方法だ。Tableau Publicのメンバーが毎週平日に1つずつ「このVizはすごい」と思うVizを選び、コレクションしている。デザインや情報の切り取り方など、ここからインスピレーションを得て利用イメージを深めることができる。Viz of the dayはメールでユーザーに発信されるので、メルマガを受け取る感覚でVizを学べる。
「傾向」(Trending)には視聴者の人気Vizがコレクションされている。よく見られているVizがここで確認できる。用途別に見たい場合は、目的別に分類したお勧めのVizが画面下部にまとめられている。その中からビジネスダッシュボードや時系列分析など、用途に適したVizを選ぶことができる。
2つ目の方法は、作成者からVizを検索する方法だ。好きな作者をフォローできるので、好みの作者のVizを閲覧することでビジュアル化のヒントが得られる。Tableau Publicアンバサダーの他、四半期に一度選ばれる「おすすめの作成者」のプロファイルもトップ画面のリンクから参照できる。
そしてVizを検索する3つ目の方法は、Tableauの特徴の一つであるコミュニティープロジェクトを利用する方法だ。世界のユーザーが有志で参加するコミュニティーでは、ユーザー同士が同じテーマでVizを作成するなどの取り組みが盛んに行われている。Tableau Publicクラウドへの投稿の他、「X」(旧Twitter)や「LinkedIn」などへの発信も盛んで、ハッシュタグ検索によって目的に近いユーザーをフォローすることもできる。
コミュニティープロジェクトの探索は英語を多用するためハードルが高いと思われそうだが、日本でも業務で利用できるVizを公開しているユーザーがいるため一度参加してみても面白いだろう。
以上、無料で使えるTableau Publicの概要を紹介した。データ分析ツールで何ができるのかを知りたい人は一度利用してみて、データの可視化手法などを豊富なVizから学んでみるのもいいだろう。
本稿は「Salesforce World Tour Tokyo」(Salesforce主催)でのTableau Publicアンバサダー3人による講演内容を基に編集部で再構成したもの。
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